育児時短就業給付の申請手続き:会社がやることと期限【給与担当者向け・2026年】

この記事でわかること

  1. 育児時短就業給付で会社が行う手続きの流れと期限
  2. 添付書類と、支給対象月の賃金を給与データから拾うときの注意点
  3. 申請漏れを防ぐチェックリストと、従業員本人への対応

※この記事は2026年10月時点の情報です(支給限度額などは2026年8月1日改定後の額)。様式や取扱いは変わることがあるため、申請前に管轄のハローワークで確認してください。

時短勤務をする従業員本人向けの解説はこちら → 時短で給与が下がっても、2歳未満の子なら給付がもらえる|育児時短就業給付の金額と期間

全体の流れ:会社がやることは3つ

育児時短就業給付は、2歳未満の子を養育するために週の所定労働時間を短縮した雇用保険の被保険者に、支給対象月ごとに支給される給付です。手続きは原則として事業主が行います(本人が希望すれば本人が申請することもできますが、時短開始時の賃金の届出は事業主が行います)。

順番手続き様式期限
①育児時短就業開始時賃金の届出雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書・所定労働時間短縮開始時賃金証明書受給資格確認と同時(育休から引き続く場合は不要)
②受給資格確認育児時短就業給付受給資格確認票・(初回)育児時短就業給付金支給申請書初回の支給申請を行う日まで
③初回の支給申請②と同じ様式で同時に申請できる最初の支給対象月の初日から4か月以内
④2回目以降の支給申請育児時短就業給付金支給申請書ハローワークが指定する期間(原則2か月ごと。次回の支給対象月の初日から4か月以内)

③と④は同じ支給申請(初回と2回目以降)です。

提出先は事業所を管轄するハローワークです。支給が決まると「支給決定通知書」が届き、約1週間で本人の口座に振り込まれます。

期限の数え方の例

育休から復帰して、4月21日から時短を開始した場合(4月から支給対象月):

  • 初回(4月分〜)の申請期限:4月1日から4か月以内 → 7月31日まで
  • 以後、ハローワークが指定する申請日に、原則2か月分ずつ申請

電子申請

①〜④はe-Govで電子申請できます。資本金等が1億円を超える法人などの「特定法人」は、電子申請が義務です。

育休から引き続く場合/そうでない場合の違い

最初に確認したいのは、育児休業給付の対象となった育休から、同じ子について引き続き時短を始めたかどうかです。育休の終了日の翌日から時短開始日の前日までが14日以内であれば「引き続き」として扱われます。

育休から引き続き(同じ子)それ以外(育休なし、15日以上空いた等)
①賃金の届出(賃金証明書)不要必要
受給資格の確認育児休業給付の対象となった育休から引き続くことで要件を満たす時短開始前2年間に、賃金支払基礎日数11日以上(または80時間以上)の月が12か月以上必要
育児の事実を確認する書類(母子健康手帳の写しなど)同じ子で育児休業給付を受けていれば不要必要
時短開始前の賃金台帳・出勤簿—賃金証明書に記載した期間の分が必要

添付書類(共通)

  • 時短の開始日と、時短前・時短後の週所定労働時間を確認できる書類(賃金台帳、出勤簿、労働条件通知書、育児短時間勤務の申出書・取扱通知書など)
  • 支給対象月の賃金と支払状況を確認できる書類(賃金台帳など)
  • 振込先口座を確認できる書類(手書きの申請で公金受取口座を使わない場合)
  • 短縮後の週所定労働時間が20時間未満の場合:子が小学校に入るまでに20時間以上に戻る前提であることがわかる就業規則など

2回目以降は、支給対象月の賃金を確認できる書類が基本です。週所定労働時間に変更がなければ、労働時間の確認書類は不要です。

2026年8月1日からの見直し

事務負担を減らすため、2026年8月1日から確認方法が見直されました。

  • 「育児時短就業期間等に係る証明書」(様式例)が改訂され、時短の開始日と週所定労働時間の確認書類として提出できるようになりました(フレックスタイム制・変形労働時間制は、確認書類で内容が確認できる場合に限る)
  • 週所定労働時間の計算方法が整理されました(詳しくはリーフレットを参照)
  • 照合省略の対象事業主は、時短前後の週所定労働時間の確認書類についても照合を省略できます

賃金の確認ポイント:給与データから何を拾うか

給付額は「支給対象月の賃金」で決まるため、ここを正しく拾えるかどうかが申請の正確さを左右します。

「支給対象月に支払われた賃金」=支払日で判断する

  • 申請する賃金は、その月に支払われた賃金です。その月の勤務を対象とした賃金でも、翌月に支払われたものは含めません
  • 臨時に支払われる賃金と、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)は除きます
  • 通勤手当など数か月分をまとめて支払う場合は、月数で割って各支給対象月に計上します(例:3か月分10,000円 → 3,333円・3,333円・3,334円。端数は最後の月)

締め日・支払日に注意:たとえば「月末締め・翌月25日払い」の会社では、4月に支払われる賃金は3月分(育休中)の賃金です。支払日で判断するため、復帰直後の支給対象月は、支払われる賃金が少ない(または0円)ことがあり、その月の支給額が小さくなったり、最低限度額以下で支給されなかったりします。従業員から「最初の月が少ない」と聞かれやすいポイントです。

開始時賃金月額と、毎月の賃金との比較

  • 時短前の賃金(育児時短就業開始時賃金月額)は、原則として時短開始前6か月の賃金総額÷180×30 で算定されます。育休から引き続く場合は、育児休業給付の休業開始時賃金日額を使います
  • 毎月の賃金が開始時賃金月額の90%以下なら賃金×10%、90%超100%未満なら支給率が下がり、100%以上なら支給されません
  • 賃金+給付額が支給限度額484,121円を超える場合は減額、計算した支給額が最低限度額2,562円以下なら支給されません(いずれも2027年7月31日まで)

時短中に残業が多かった月や、手当の遡及支給があった月は90%を超えやすいので、申請前に開始時賃金月額との比較をしておくと、従業員への説明がしやすくなります。

あわせて確認:時短開始後の社会保険の手続き

時短開始で給与が下がると、健康保険・厚生年金の標準報酬月額も見直しの対象になります。雇用保険の給付とは窓口も様式も別なので、手続きを分けて管理しましょう。

育休から復帰した従業員は、本人の申出を受けて「育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出すると、随時改定に当たらない場合でも4か月目から改定できます。あわせて「養育期間標準報酬月額特例申出書」を提出すると、年金額は従前の標準報酬月額(子の養育を始めた月の前月の額)で計算されます。

要件や随時改定との違い、提出の手順は次の記事で解説しています。

→ 【給与担当者向け】育児休業等終了時報酬月額変更届の手続き

従業員本人への対応

  • 本人の署名は、申請等に係る同意書をもらえば省略できます(申請者氏名欄に「申請について同意済み」と記載。同意書は会社で保管〈完結の日から4年間〉)
  • 受給資格確認通知書・支給決定通知書は、本人に渡します
  • 次回支給申請日指定通知書と次回用の申請書は、会社で保管して次回の申請に使います
  • 時短中の残業や手当の増減で給付額が変わること、給付は給与明細に載らないことを、あらかじめ本人に伝えておくと問い合わせが減ります

よくあるミスとチェックリスト

よくあるミス

  • 初回申請が期限(最初の支給対象月の初日から4か月)を過ぎる
  • 2回目以降の申請日を管理しておらず、申請が止まる
  • 支給対象月の賃金を「その月の勤務分」で拾ってしまう(支払日基準になっていない)
  • 賞与や遡及支給の扱いを誤る
  • 雇用保険の手続きだけで終わり、社会保険の手続き(別記事)が漏れる
  • 2人目の産休・育休開始、フルタイム復帰、退職などで支給が終わることを把握していない

担当者チェックリスト

時短開始前

  • 子の生年月日、育休終了日、時短開始日、時短前後の週所定労働時間を確認した
  • 育休から引き続き(14日以内)かどうかを確認した
  • 本人に給付と社会保険の手続きを案内し、同意書・申出書を受け取った

初回申請

  • 育休から引き続かない場合、賃金証明書を作成した
  • 受給資格確認票・(初回)支給申請書を作成した
  • 添付書類(または育児時短就業期間等に係る証明書)をそろえた
  • 支給対象月の賃金を支払日基準で拾い、開始時賃金月額と比較した
  • 最初の支給対象月の初日から4か月以内に提出した

2回目以降

  • 次回支給申請日を管理表に記録した
  • 週所定労働時間の変更の有無を確認した
  • 支給終了の事由(2歳到達、産休・育休開始、フルタイム復帰、退職など)がないか確認した

社会保険

  • 時短開始後の社会保険の手続きを進めた(詳しくは別記事)

このチェックリストを、従業員ごとの申請日・期限を管理できる表にしたもの(申請管理表)を準備中です。

実務の現場から(筆者)

育休が終わった後も、給付を受けられる従業員がいます

育児休業が終わると育児休業給付も終わりますが、時短勤務をする従業員は、子どもが2歳になるまで育児時短就業給付を受けられます。この給付を知らない従業員も少なくないため、担当者が制度を正しく理解して案内することが、従業員の働きやすさを支えることにつながります。

申請に使う賃金は「支払った月」で拾う

勤怠・給与データから申請用の賃金を拾うときは、勤務した月の賃金ではなく、その月に支払った賃金を使います。月末締め・翌月払いの会社では、勤務した月と支払った月がずれるので混乱しがちですが、締め日ではなく支払日(支払月)を基準に考えましょう。

まとめ

  • 会社がやることは、賃金の届出(育休から引き続く場合は不要)・受給資格確認・支給申請の3つ。初回は最初の支給対象月の初日から4か月以内、以後は原則2か月ごと
  • 支給対象月の賃金は「その月に支払われた賃金」で拾う。締め日・支払日に注意
  • 時短開始とあわせて、社会保険の手続きも必要です(別記事で解説)

確認先(公的機関)

個別の事案の判断は、管轄のハローワーク、または社会保険労務士にご確認ください。