源泉所得税の扶養人数、いつ・どう数える?

給与計算担当者の皆様、毎月の給与計算ご苦労さまです。

社員から「結婚しました」「子どもが生まれました」「子が就職して扶養から外れます」といった連絡があったとき、扶養人数をいつから変更すればいいか迷うこと、ありませんか?

毎月の源泉所得税額は扶養人数で決まるので、タイミングを間違えると税額も間違えてしまいます。

「扶養人数っていつ数えるの?」「どうやって計算するの?」と疑問に思うこともあるでしょう。

この記事では、毎月の源泉徴収の実務について整理しています。
扶養人数の適用タイミングやポイントを押さえて、給与計算をスムーズに進めて参りましょう!

最初に源泉所得税額とは?ですが、これは給与から天引きされる所得税のことです。

社員が給与を受け取る前に、会社が税務署に代わって納める仕組みで、毎月の給与計算で必ず扱います。

年末調整や確定申告で最終的な税額が決まるまでの仮の税金とも言えます。

正確に計算しないと、社員の手取りが変わったり、税務署からの指摘リスクも出てくるので、慎重な対応が求められますね。

毎月の源泉所得税計算のおさらいです。

  • 給与総額から非課税分(通勤手当など)を除く。例えば、住宅手当や残業代は課税対象です。
  • 社会保険料(健康保険、厚生年金、雇用保険)を引いて課税対象額を出す。これが税額計算のベース。
  • 扶養人数を確認する。後述のルールで人数を正確に把握することが肝心です。
  • 「給与所得に対する源泉徴収税額表」(甲欄)を適用。国税庁の表を使って、課税対象額と扶養人数から税額を求めます。

例: 給与20万円、社会保険料2万円、扶養2人なら、課税対象額18万円で甲欄をチェックして税額を決定。

扶養親族の条件は3つ。
社員から提出される申告を基に確認します。

  1. 社員の親族(6親等内の血族、3親等内の姻族)。親や子、兄弟だけでなく、遠い親戚も含まれる場合があります。
  2. 社員と生活費を共にしている。一緒に暮らして家計を共有していることが条件。別居でも仕送りで生活を支えていればOK。
  3. 年間所得48万円以下(給与のみ103万円以下)。パート収入や年金収入が基準を超えると対象外に。

たとえば、社員と一緒に暮らして生活費を共有していれば、配偶者や子が扶養親族として認められます。

毎月の扶養人数のカウントはいつ時点か?
給与体系でタイミングが変わります。

  • 前月締め当月払い: 前月末日が基準。例えば、3月分給与を4月に払うなら3月31日時点の人数。
  • 当月締め当月払い: 当月末日が基準。例えば、4月分を4月に払うなら4月30日時点の人数。

社員の家族状況が変わった場合(結婚や出産など)、その月の締め日で適用するかどうかを判断します。

たとえば、4月15日に出産した子は、4月締めなら4月30日時点でカウントしますが、3月締めなら4月給与ではカウントせずに翌月の5月から反映させます。

扶養人数の数え方です。
基本は扶養者一人につき1人となりますが、障害者等の場合は扶養人数が加算されます。

  • 基本:
    • 源泉控除対象配偶者(所得48万円以下): 1人。
    • 控除対象扶養親族(16歳以上): 1人。16歳未満はカウントしないので注意。
  • 加算(本人):
    • 社員が障害者、寡婦、ひとり親、勤労学生: それぞれ+1人。申告書に記載があれば加算。
  • 加算(配偶者・扶養親族):
    • 障害者(特別障害者を含む): +1人。
    • 同居特別障害者: +2人。障害者かつ同居なら加算が大きくなります。

例:
・配偶者と子1人=2人。

・社員(障害者)と子(同居特別障害者)1人=1+1+2=4人。
 障害者+1、子1人で基本1、同居特別障害者で+2。

・社員(ひとり親)と子(障害者)2人=2+1+1+1=5人。
 ひとり親で+1、子2人で基本2、障害者加算が各+1。

・配偶者(障害者)と子2人=3+1=4人。
 配偶者1と子2人で基本3、配偶者の障害者加算で+1。

・子(16歳未満の障害者)1人=0+1=1人。
 子が16歳未満なので基本は0だが、障害者加算で+1。

社員が申告した内容をしっかり確認してください。
たとえば、社員が子の障害を申告した場合、扶養人数のカウントを誤ると、税額が多く引かれすぎる可能性があるので、しっかり確認することが必要です。

年末調整は、毎月の源泉所得税額を年間で精算する手続きです。
毎月の源泉所得税はあくまで概算で、年末の年末調整で最終的な税額が調整されます。

たとえば、毎月の申告で子の障害を反映し忘れた場合、税額が多く引かれすぎる可能性がありますが、年末調整で正しい税額に修正されます。

  • 扶養人数のカウント: 毎月とは異なり、その年の12月31日時点の状況で判断します。
    たとえば、年内に子が生まれた場合や、配偶者の所得が年収103万円を超えた場合、その状況を反映します。
    社員には「給与所得者の扶養控除等申告書」を再確認してもらい、最新の情報を提出してもらうことが重要です。
  • 扶養控除額: 年末調整では扶養控除が適用されます。
    たとえば、16歳以上の扶養親族1人につき38万円(特定扶養親族なら63万円、同居特別障害者なら75万円)の控除が受けられます。
    配偶者控除も所得に応じて最大38万円が適用可能です。
    これにより、社員の年間税額が軽減されるので、正確な扶養の把握が大切です。

毎月の給与計算では正確さが求められますが、扶養人数のミスは税額に直結し、社員からの信頼にも関わります。

毎月の申告書チェックを怠らず、年末に備えましょう。

年末調整では、12月31日時点の扶養人数を基に計算し直すので、社員に最新の情報を提出してもらうことが必要ですね。

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