給料から引かれるものは何?給与明細の控除を項目ごとに解説(手取りの計算例つき)

2026年10月22日更新:子ども・子育て支援金(2026年4月分から)を追加し、令和8年度の保険料率で計算例を作り直しました。

給料日に振り込まれた金額を見て、「思ったより少ない」と感じたことはありませんか。給料からは、毎月いくつものお金が引かれています。この記事では、給与明細の「控除」欄に並ぶ項目を一つずつ、何のためのお金か、いくらくらいかを説明します。

この記事でわかること

  1. 給料から引かれているお金の種類と、それぞれの目安
  2. 月給30万円の場合の手取りの計算例
  3. 引かれる額が変わる月と、明細で確認したいポイント

※2026年10月時点の情報です。

結論:給料から引かれるのは3種類

ポイント

  • 給料から引かれるのは「社会保険料」「税金」「会社ごとの控除」の3種類
  • いちばん大きいのは社会保険料で、給料のおよそ15%
  • 手取り=総支給額 − 引かれるお金の合計
種類項目何のためのお金か給料に対する目安金額が変わる主なとき
社会保険料健康保険料病気・けがの医療費、病気で休んだときの手当など約4.9%毎年3月分(料率の改定)、9月分(定時決定)
介護保険料介護が必要になったときの介護サービス約0.8%(40〜64歳のみ)40歳になったとき
厚生年金保険料老後・障害・遺族の年金9.15%9月分(定時決定)
雇用保険料失業したとき・育児休業中などの給付0.5%毎年4月(料率の改定)、残業代などで毎月
子ども・子育て支援金児童手当の拡充など、子育て支援の財源約0.1%2026年4月分から
税金所得税国の税金給料と扶養する家族の数で決まる年末調整(12月または1月)
住民税住んでいる都道府県・市区町村の税金前の年の所得で決まる毎年6月
会社ごとの控除組合費・社宅費など会社と従業員の取り決めによるもの会社による会社による

※社会保険料の目安は、協会けんぽ(東京都)の令和8年度の料率で、本人が負担する割合です。加入している健康保険(協会けんぽか、会社の健康保険組合か)と都道府県によって違います。
※社会保険料(雇用保険料を除く)の%は、給料そのものではなく「標準報酬月額」にかかります(後で説明します)。

引かれているお金は、給与明細の「控除」欄にある

給与明細は、ふつう次の3つの欄に分かれています。

  • 勤怠:出勤日数、残業時間、有給休暇を取った日数など
  • 支給:基本給、手当、残業代など、会社が払うお金
  • 控除:給料から引かれるお金

この記事で説明するのは「控除」欄です。支給欄の合計(総支給額)から控除欄の合計を引いた金額が、振り込まれる手取り(差引支給額)になります。

架空の給与明細の例。控除欄に①健康保険14,775円、②介護保険0円、③厚生年金27,450円、④雇用保険1,500円、⑤子ども・子育て支援金345円、⑥所得税6,320円、⑦住民税12,500円。控除合計62,890円、総支給額300,000円、差引支給額237,110円
架空の給与明細の例(金額は下の「手取りの計算例」と同じ条件)。①〜⑦の番号は、この下で説明する順番です

社会保険料:給料からいちばん多く引かれるお金

社会保険料は、病気・老後・失業などに備えるための保険料です。本人が払う分と同じくらいの額を、会社も負担しています(雇用保険料は会社の負担の方が多い)。給与明細に出ているのは、本人が払う分だけです。

健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・子ども・子育て支援金は、毎月の給料そのものではなく、「標準報酬月額」という区切りのよい金額にかかります。標準報酬月額は、原則として毎年4〜6月の給料の平均で決まり、その年の9月分から1年間使われます。そのため、残業が多い月でも、これらの保険料は変わりません。ただし、4〜6月に支払われた給料の残業代や通勤手当は、この平均に含まれます。

健康保険料

病気やけがで病院にかかったときの医療費(自己負担は原則3割)や、病気で会社を休んだときの手当(傷病手当金)、出産のときの給付などに使われます。

料率は、加入している健康保険によって違います。協会けんぽの場合は都道府県ごとに決まっていて、東京都の令和8年度の料率は9.85%です。これを会社と本人で半分ずつ負担するので、本人の負担は4.925%です。料率は毎年3月分から見直されます。

詳しくは:給与明細の健康保険料とは?決まり方と、金額が変わる月

介護保険料(40歳から)

40歳から64歳までの人は、健康保険料と一緒に介護保険料も引かれます。料率は協会けんぽの場合、全国一律で1.62%(本人の負担は0.81%)です。

引かれ始めるのは、40歳の誕生日の前日がある月の分からです。65歳になると、介護保険料は給料からではなく、市区町村に納める形に変わります。

詳しくは:給与明細の介護保険料とは?40歳から引かれる理由と、いつからいつまでか

厚生年金保険料

老後にもらう年金のほか、障害を負ったときや、亡くなったときに家族がもらう年金のための保険料です。料率は18.3%で、会社と本人で半分ずつ負担します(本人の負担は9.15%)。料率は2017年から変わっていません。

詳しくは:給与明細の厚生年金保険料とは?決まり方と、将来の年金とのつながり

雇用保険料

仕事を失ったときの給付(失業手当)や、育児休業・介護休業中の給付などに使われます。令和8年度の本人の負担は0.5%です(一般の事業の場合)。

雇用保険料は、ほかの社会保険料と違って、毎月の実際の給料(残業代や通勤手当を含む)にかかります。そのため、残業が多い月は少し多く引かれます。

詳しくは:給与明細の雇用保険料とは?決まり方と、毎月金額が変わる理由

子ども・子育て支援金(2026年4月分から)

2026年4月分から、新しく加わった控除です。児童手当の拡充や、育児休業・時短勤務中の給付などの財源に充てられます。料率は、会社員が入る健康保険で一律の0.23%です。協会けんぽの場合は会社と本人で半分ずつ負担するので、本人の負担は0.115%です。標準報酬月額が30万円の人で、月345円です。

給与明細に「子ども・子育て支援金」の欄がなくても、引かれていないとは限りません。支援金は健康保険料と一緒に集める仕組みのため、健康保険料に含めて表示している会社もあります。明細に別の欄で表示することは法律上の義務ではなく、国(こども家庭庁)が会社に協力をお願いしている形です。

詳しくは:給与明細の子ども・子育て支援金とは?いくら引かれるのかと、明細に欄がない理由

税金:所得税と住民税

所得税

国に納める税金です。給料から社会保険料を引いた金額と、扶養している家族の数(会社に出した「扶養控除等申告書」の内容)をもとに、国税庁の税額表で毎月の額が決まります。あわせて、復興特別所得税(所得税の2.1%)も引かれています。

毎月引かれる所得税は、1年分を見込んだ仮の金額です。年末に1年間の給料が確定したところで、会社が正しい税額を計算し直し(年末調整)、引きすぎた分は戻り、足りない分は追加で引かれます。

詳しくは:給料から引かれる所得税とは?いくら引かれるのか、毎月の額が変わる理由

住民税

住んでいる都道府県と市区町村に納める税金です。前の年(1〜12月)の所得をもとに市区町村が金額を決め、その年の6月から翌年5月まで、12回に分けて給料から引かれます。

そのため、次のようなことが起きます。

  • 社会人1年目は、前の年の所得がないので、住民税は引かれない(2年目の6月から引かれ始める)
  • 毎年6月に、引かれる額が変わる
  • 給料が下がっても、その年の住民税は前の年の所得で決まっているので、すぐには下がらない

詳しくは:給与明細の住民税とは?決まり方と、6月に金額が変わる理由

会社ごとの控除

税金と社会保険料のほかに、会社によっては次のようなお金が引かれます。

  • 労働組合費
  • 社宅・寮の家賃
  • 財形貯蓄、社員持株会の積立
  • 会社を通して入っている保険(団体保険)の保険料
  • 社員食堂などの代金

税金と社会保険料以外のお金を給料から引くには、会社と従業員の代表との取り決め(労使協定)が必要です。どの項目が何のお金か分からないときは、会社の給与担当に聞いて問題ありません。

手取りの計算例(月給30万円の場合)

計算の前提

  • 月給30万円(残業代・通勤手当なし)、賞与は考えない
  • 東京都に住み、協会けんぽに加入、40歳未満(介護保険料なし)
  • 扶養している家族なし
  • 標準報酬月額は30万円
  • 住民税は、前の年も同じ給料(年収360万円)だった場合の目安
項目計算金額
健康保険料30万円 × 4.925%14,775円
子ども・子育て支援金30万円 × 0.115%345円
厚生年金保険料30万円 × 9.15%27,450円
雇用保険料30万円 × 0.5%1,500円
社会保険料の合計44,070円
所得税30万円 − 44,070円 = 255,930円を税額表(扶養0人)に当てはめる6,320円
住民税前の年の所得から計算(目安)約12,500円
引かれるお金の合計約62,900円
手取り30万円 − 約62,900円約237,100円

月給30万円のうち、およそ2割(約6万3,000円)が引かれ、手取りは約23万7,000円になります。

実際の金額は、会社の端数の扱い、加入している健康保険、住んでいる市区町村、前の年の収入などによって変わります。この計算は目安としてご覧ください。

40歳以上の人は、ここに介護保険料(30万円 × 0.81% = 2,430円)が加わります。

引かれる額が変わる月

給料が同じでも、引かれる額は1年の中で何度か変わります。「手取りが急に減った」というときは、まずこの表を確認してください。

時期何が変わるか給与明細に出るのは
3月分から健康保険料・介護保険料の料率の改定(協会けんぽ)4月の給料から
4月以降雇用保険料の料率の改定4月以降の給料から(4月の給料からか5月の給料からかは、会社の締め日・支払日によって違います)
4月分から子ども・子育て支援金(2026年から)5月の給料から
6月住民税の金額の切り替え6月の給料から
9月分から標準報酬月額の見直し(定時決定)。4〜6月の給料の平均で決まる10月の給料から
12月または翌年1月年末調整で所得税を精算所得税が戻る・追加で引かれる
給料が大きく変わったとき標準報酬月額の見直し(随時改定)。昇給・降給から3か月の平均で判断変わってから4か月目の分から(その翌月の給料から)
40歳になったとき介護保険料が引かれ始める誕生日の前日がある月の分から(その翌月の給料から)

社会保険料は、前の月の分を今月の給料から引くのが一般的です(翌月徴収)。そのため、たとえば「9月分」の保険料は、10月の給料から引かれます。

育児休業から復帰して時短勤務になったときの社会保険料については、育休明け・時短で給与が下がったのに社会保険料が高い?で説明しています。

引かれすぎ・間違いに気づくためのチェックポイント

給料の計算は会社が行いますが、届け出の遅れや変更の反映漏れで、引かれる額が違っていることもあります。次のときは、控除欄を前の月の明細と見比べてみてください。

  • 6月の明細:住民税の額が変わっているか。5月までと同じ額のままなら、会社から配られる住民税の通知書(特別徴収税額の決定通知書)の月額と比べる
  • 10月の明細:健康保険料・厚生年金保険料が新しい額になっているか
  • 家族が増えた・減ったあと:所得税の額が変わっているか(会社に扶養控除等申告書を出し直したか)
  • 40歳の誕生日の前日がある月の分(翌月の給料):介護保険料が引かれ始めているか
  • 引っ越し・通勤経路の変更のあと:通勤手当(支給欄)が変わり、それに合わせて雇用保険料も変わっているか
  • 年末調整の月:所得税が戻ったか、追加で引かれたか、その理由が分かるか

おかしいと思ったら、会社の給与担当(人事・総務)に、どの月のどの項目かを伝えて確認してもらいましょう。

よくある質問

Q. 給料は変わらないのに、手取りが急に減りました。なぜですか?

A. よくあるのは、6月の住民税の切り替え、10月の社会保険料の見直し、40歳からの介護保険料です。上の「引かれる額が変わる月」の表で、明細の月と照らし合わせてみてください。

Q. 所得税が引かれていません。大丈夫ですか?

A. 給料から社会保険料を引いた額が少ない場合(令和8年分の税額表では、月10万5,000円未満)は、毎月の所得税は0円です。また、年末調整で所得税が戻る月は、所得税の欄がマイナスや0円になることがあります。

Q. 住民税が0円(または引かれていない)のはなぜですか?

A. 社会人1年目で前の年の所得がない場合や、前の年の所得が少なかった場合は、住民税がかからないことがあります。また、転職した直後などで、住民税を給料から引かずに自分で納める形(普通徴収)になっていることもあります。その場合は、市区町村から届く納付書で納めます。

Q. 給与明細に「子ども・子育て支援金」の欄がありません。

A. 健康保険料に含めて表示している会社もあります。欄がなくても、2026年4月分からは引かれています。気になるときは、会社の給与担当に、健康保険料の中に含まれているか聞いてみてください。

Q. 通勤手当には税金がかからないのですか?

A. 通勤手当は、決められた限度額までは所得税がかかりません。ただし、社会保険料と雇用保険料の計算には含まれます。通勤手当が増えると、保険料が増えることがあります。

詳しくは:通勤手当に税金はかかる?非課税になる理由と、上限を超えると課税される理由

まとめ

  • 給料から引かれるのは、社会保険料・税金・会社ごとの控除の3種類
  • 社会保険料は、健康保険料・介護保険料(40歳から)・厚生年金保険料・雇用保険料・子ども・子育て支援金。合わせて給料のおよそ15%
  • 税金は、所得税(年末調整で精算)と住民税(前の年の所得で決まり、6月から切り替え)
  • 月給30万円の場合、手取りは約23万7,000円(目安)
  • 引かれる額は1年の中で何度か変わる。明細を前の月と見比べる習慣をつけると、間違いにも気づきやすい

確認先の公的機関

この記事は一般的な仕組みの説明です。ご自身の給料の計算については、勤め先の給与担当にご確認ください。税金は税務署、社会保険は加入している健康保険・年金事務所でも相談できます。