副業の収入、親の年金、保険の満期金、株の利益。給料以外の収入は、税金のうえで「所得の種類」が決まっていて、種類ごとに計算のしかたが違います。この記事では、所得の10種類と、それぞれの計算のしかたを身近な例で説明します。
所得とは何か(収入との違い)は、所得とは?収入との違いと、年末調整の申告書に書く家族の「所得の見積額」の出し方で説明しています。
この記事でわかること
- 所得の10種類と、それぞれの計算のしかた
- 副業・年金・投資など、会社員によくある収入がどの所得に当たるか
- 所得の種類によって変わること
※2026年10月時点の情報です。金額は令和8年分(2026年1月〜12月)のものです。
結論:所得は10種類で、種類ごとに計算のしかたが違う
ポイント
- 所得は、給与・事業・雑・一時・退職など10種類。種類ごとに計算のしかたが違う
- 会社員の給料以外の収入は、副業は事業所得か雑所得、年金は雑所得、保険の満期金は一時所得、株は配当所得か譲渡所得になることが多い
- 種類によって、所得を1/2にする、赤字を給料と相殺できる・できない、などの違いがある
所得の10種類の一覧
| 種類 | 主な例 | 計算のしかた |
|---|---|---|
| 給与所得 | 給料、賞与、パート・アルバイト代 | 収入 - 給与所得控除 |
| 事業所得 | 個人で営む商売・フリーランスの仕事 | 売上 - 必要経費 |
| 雑所得 | 年金、副業の原稿料、FX・暗号資産の利益など | 年金:収入 - 公的年金等控除/それ以外:収入 - 必要経費 |
| 不動産所得 | 家賃・地代・駐車場代 | 収入 - 必要経費 |
| 利子所得 | 預貯金・公社債の利子 | 収入 = 所得 |
| 配当所得 | 株の配当、投資信託の分配金 | 収入 - 株などを買うための借入金の利子 |
| 譲渡所得 | 株・土地・建物・金地金などを売った利益 | 売った額 -(買った額+売るための費用)- 特別控除 |
| 一時所得 | 生命保険の満期金・一時金、懸賞の賞金 | 収入 - 支出 - 特別控除(最高50万円) |
| 退職所得 | 退職金 | (収入 - 退職所得控除)× 1/2 |
| 山林所得 | 5年を超えて持っていた山林を売った利益 | 収入 - 必要経費 - 特別控除(最高50万円) |
会社員によくある収入は、どの所得?
| 収入 | 所得の種類 |
|---|---|
| 副業(フリーランス・ネット販売など) | 事業所得 または 雑所得 |
| 副業(アルバイトとして雇われて働く) | 給与所得 |
| 国民年金・厚生年金・企業年金 | 雑所得(公的年金等) |
| 個人年金保険の年金 | 雑所得 |
| 生命保険の満期金・一時金 | 一時所得 |
| 株の配当、投資信託の分配金 | 配当所得 |
| 株・投資信託を売った利益 | 譲渡所得 |
| 預貯金の利子 | 利子所得 |
| FX・暗号資産の利益 | 雑所得(原則) |
| マンションなどの家賃 | 不動産所得 |
| 懸賞・ふるさと納税の返礼品 | 一時所得 |
| 退職金 | 退職所得 |
| 生活で使っていた物(家具・服など)をフリマで売った代金 | 原則として所得税はかからない |
副業は事業所得?雑所得?
副業で得た所得は、事業所得になる場合と、雑所得になる場合があります。営利を目的に続けて行っている副業で、その規模や、帳簿をつけて保存しているかどうかなどで分かれます。
どちらに当たるか迷うときは、税務署に相談できます。
種類ごとの計算のしかた
給与所得
計算のしかた:給与の収入 - 給与所得控除
令和8年分の給与所得控除は、収入220万円までは74万円、それを超えると収入に応じて増えます(収入850万円超は195万円)。
例:給与の収入が400万円 → 給与所得控除は124万円(400万円×20%+44万円)→ 400万円 - 124万円 = 276万円
※収入660万円以下の人は、実際には国税庁の表で求めるため、数千円ずれることがあります。
事業所得
計算のしかた:売上 - 必要経費
例:フリーランスの売上が500万円、経費が300万円 → 500万円 - 300万円 = 200万円
※青色申告をしている場合は、さらに青色申告特別控除(最高65万円)を引きます。
雑所得
雑所得は、ほかの9種類のどれにも当たらない所得です。年金と、それ以外で計算のしかたが違います。
年金(公的年金等):収入 - 公的年金等控除
例:65歳以上で、年金が年250万円 → 250万円 - 110万円 = 140万円
※65歳以上で年金の収入が110万円超330万円未満の場合。65歳未満は控除の額が違います。
副業など(業務)・その他:収入 - 必要経費
例:副業の原稿料が30万円、経費が5万円 → 30万円 - 5万円 = 25万円
不動産所得
計算のしかた:家賃などの収入 - 必要経費
例:家賃収入が120万円、経費が50万円 → 120万円 - 50万円 = 70万円
※青色申告をしている場合は、さらに青色申告特別控除を引きます。
利子所得
計算のしかた:利子の収入 = 利子所得
例:社債の利子が2万円 → 2万円
※預貯金の利子は、受け取るときに税金が引かれて終わります(源泉分離課税)。確定申告をすることはできません。
配当所得
計算のしかた:配当の収入 - 株などを買うための借入金の利子
例:株の配当が10万円(借入金なし)→ 10万円
※上場株式の配当は、確定申告をしないことも選べます。
譲渡所得
計算のしかた:売った額 -(買った額+売るための費用)- 特別控除
売った物によって、計算のしかたが分かれます。
- 株・投資信託:特別控除はありません。例:120万円で売った株を100万円で買っていて、手数料が1万円 → 120万円 -(100万円+1万円)= 19万円
- 土地・建物:ほかの所得と分けて計算します(マイホームを売ったときの特別控除などがあります)
- 金地金・ゴルフ会員権など:特別控除(最高50万円)があり、5年を超えて持っていた物は、ほかの所得と合わせるときに1/2にします
一時所得
計算のしかた:受け取った額 - 払った額 - 特別控除(最高50万円)
ほかの所得と合わせるときは、この金額の1/2にします。
例:生命保険の満期金が400万円、払った保険料が300万円 → 400万円 - 300万円 - 50万円 = 50万円 → ほかの所得と合わせるのは 25万円
退職所得
計算のしかた:(退職金 - 退職所得控除)× 1/2
退職所得控除は、勤めた年数で決まります(20年以下は1年につき40万円〈最低80万円〉、20年を超える部分は1年につき70万円)。
例:勤続20年で退職金1,000万円 → 退職所得控除は800万円 →(1,000万円 - 800万円)× 1/2 = 100万円
※役員や、勤めた年数が5年以下の人などは、1/2にならない部分があります。
山林所得
計算のしかた:収入 - 必要経費 - 特別控除(最高50万円)
5年を超えて持っていた山林を伐って売ったときなどの所得です。会社員には、あまりなじみのない所得です。
所得の種類によって変わること
1/2にする所得がある
一時所得と、5年を超えて持っていた金地金などの譲渡所得は、ほかの所得と合わせるときに1/2にします。退職所得も、原則として1/2にして計算します。
赤字を給料と相殺できる所得と、できない所得がある
事業所得・不動産所得・譲渡所得・山林所得で赤字(損失)が出たときは、原則として給料など、ほかの所得から差し引けます(損益通算)。雑所得などの赤字は、ほかの所得から差し引けません。
譲渡所得のうち、株の売却の損失や、マイホーム以外の土地・建物の売却の損失などは、給料と相殺できません。
確定申告が必要かどうかの「20万円」
会社員で、給料を1か所からもらっている人は、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円を超えると、確定申告が必要です。副業の所得が事業所得でも雑所得でも、合計して判断します。
よくある質問
Q. 副業でアルバイトをしています。どの所得ですか?
A. 雇われて給料をもらっている場合は、給与所得です。2か所目の給料として扱われます。
Q. 家族の所得を年末調整の申告書に書くときは、どうすればいいですか?
A. 所得とは?収入との違いと、年末調整の申告書に書く家族の「所得の見積額」の出し方で、申告書に書く「所得の見積額」の出し方を説明しています。
Q. 所得の種類が分からないときは、どうすればいいですか?
A. 税務署に相談できます。国税庁のタックスアンサーでも、所得の種類ごとの説明を確認できます。
まとめ
- 所得は、給与・事業・雑・不動産・利子・配当・譲渡・一時・退職・山林の10種類
- 計算のしかたの基本は「収入 - 必要経費」。給料・年金・退職金は、決められた控除を引く
- 副業は事業所得か雑所得、年金は雑所得、保険の満期金は一時所得、株は配当所得か譲渡所得になることが多い
- 一時所得などは1/2にする、雑所得の赤字は給料と相殺できない、など種類によって違いがある
確認先の公的機関
- 国税庁 タックスアンサー No.1500「雑所得」
- 国税庁 タックスアンサー No.1410「給与所得控除」
- 国税庁 タックスアンサー No.1490「一時所得」
- 国税庁 タックスアンサー No.1420「退職金を受け取ったとき(退職所得)」
- 国税庁 タックスアンサー No.2250「損益通算」
- 国税庁 タックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」
この記事は一般的なしくみの説明です。ご自身の所得の区分や計算については、税務署にご確認ください。