業務要件を整理する
業務の観点で整理すると、業務要件は次の3つです。
- 家族の扶養は、申告書を受理した日の家族の状況で決まる
- 支給日の前日までに受理した申告書は、その支給日の給与計算に反映する
- 受理する前の給与には遡らない
システムにとって厄介なのは、受理日が社員ごと、申告書ごとに違うことです。家族情報を何日の時点で取得すればよいか、ひとつに決まりません。
システムの実現性を考える
業務要件を、データ・取得・計算の3つの観点に分けて考えます。
| 観点 | 考えること | 業務要件 |
|---|---|---|
| データ | 何を持つか | 受理した日の状況で決まる |
| 取得 | いつ時点のデータを取るか | 支給日の前日までの受理は、その支給日から反映 |
| 計算 | どの給与に効かせるか | 受理する前の給与には遡らない |
データ:何を持つか
- 業務要件:家族の扶養は、申告書を受理した日の家族の状況で決まる
- 論点:受理日を持つか、異動日を持つか
- 検討:
- 家族情報は、申告書を受理してから入力する
- そのため、受理日がなくても、受理した後の計算から新しい情報を使える
- 履歴の開始日として必要なのは、いつその情報が変わったか(異動日)
- → 異動日を有効開始日として持つ。受理日は持たない
取得:いつ時点のデータを取るか
- 業務要件:支給日の前日までに受理した申告書は、その支給日の給与計算に反映する
- 論点:受理日は社員ごとに違う。家族情報を何日の時点で取得するか、システムでは決められない
- 検討:
- 会社によって、締め日・計算日・支給日の関係が違う
- → 取得する日(基準日)は、外付けのパラメータにする
- 要件どおりなら、基準日は支給日の前日。ただ、前日はシステムが持っている日付ではない。支給日は持っている
- 計算するときに、まだ起きていない未来の情報は入っていない。支給日でも前日と結果は変わらない
- → 設定は支給日をすすめる。支給日の時点で情報が更新されていなければ、申告書の遅れと判断できる
| 基準日 | 業務要件との関係 |
|---|---|
| 前月末 | 反映が1か月遅れることがある |
| 計算日 | 計算日までに入力したものは、業務要件どおりに反映できる |
| 支給日(すすめる) | 計算日までに入力したものは、業務要件どおりに反映できる |
計算:どの給与に効かせるか
- 業務要件:受理する前の給与には遡らない
- 論点:履歴を持つシステムは、過去日付で家族情報を入れると、遡及計算(過去の月を再計算し、差額を当月の給与に反映する)が動く
- 検討:
- 源泉所得税は、受理する前の給与に遡らない
- 家族手当など、同じ家族情報を使う項目は、会社のルールで遡及することがある
- → 遡及計算の対象は項目ごとに指定し、源泉所得税は対象から外す
※家族情報に履歴を持たないシステムでは、受理して更新した後の計算から反映されます。取得と計算の設定はいりません。
システム要件
まとめると、システム要件は次の3つです。
- データ:家族情報は、有効開始日(異動日)つきの履歴で持つ。受理日は持たない
- 取得:家族情報を取得する基準日は、外付けのパラメータで指定する
- 計算:遡及計算の対象を項目ごとに指定し、源泉所得税は対象から外す
システムを使ってもらうには
業務担当には、次のことをしてもらいます。
- 家族情報の有効開始日には、異動日を入れてもらう
- パラメータの基準日を決めてもらう(すすめるのは支給日)
- 計算日の後に受理した申告書は、翌月の給与から反映される。計算日より前に社内の提出締切を決めて、社員に案内してもらう
これでシステムが動きます。
まとめ
| 観点 | 業務要件 | システム要件 | 使ってもらうこと |
|---|---|---|---|
| データ | 受理した日の状況で決まる | 異動日つきの履歴で持つ。受理日は持たない | 有効開始日に異動日を入れる |
| 取得 | 支給日の前日までの受理は、その支給日から反映 | 基準日は外付けのパラメータ | 基準日を決める(すすめるのは支給日)。社内の提出締切を決める |
| 計算 | 受理する前の給与には遡らない | 源泉所得税は遡及計算の対象から外す | — |