年末調整とは
所得は10種類に分かれますが、年末調整で精算するのは、会社が支払った給与・賞与にかかる「給与所得」だけです。給与以外の所得(不動産所得、一時所得、雑所得など)がある人は、必要に応じて、その分を本人が確定申告します(給与が1か所で、給与・退職所得以外の所得が20万円以下なら原則不要)。
毎月の給与や賞与から天引きした所得税(源泉徴収税額)の合計と、1年間の給与に対して本来納めるべき年税額との差額を、年末に勤務先が精算する手続きです。
月々の源泉徴収は「源泉徴収税額表」による概算です。生命保険料や地震保険料などの控除は月々の計算に入っておらず、扶養親族の増減や所得要件の確定も年の途中では分かりません。そこで12月31日の現況で控除を確定させ、1年分の正しい所得税額を計算し直します。
年末調整は「申告書で集めた情報」から各控除を計算する作業です。どの控除がどの申告書から来るのかを押さえると、回収漏れや記載不備に気付けるようになります。このシステムでは、各控除に申告書の印( )を付けています。
全体フロー図
年末調整は、会社と従業員から集めた情報をインプットとして1年分の税額を計算し、従業員・国・市区町村へ結果をアウトプットする手続きです。
会社
- 年間の給与・賞与
- 社会保険料(給与天引き分)
- 源泉所得税(毎月の天引き額)
従業員
- 扶養控除等(異動)申告書
- 基礎・配偶者・特定親族・所得金額調整控除の兼用申告書
- 保険料控除申告書+控除証明書
- 住宅借入金等特別控除申告書+残高証明書
- 前職の源泉徴収票
給与所得 − 所得控除 = 課税給与所得金額 → 算出所得税額 − 住宅ローン控除 → 年調年税額(×102.1%)
年調年税額と源泉徴収済みの税額を比べて、過不足を求めます。詳しい手順は「計算の流れ」と「年末調整計算」を参照してください。
従業員
- 還付金・徴収金過納額は12月(または1月)の給与で還付、不足額は年末調整をした月の給与から徴収(足りなければ翌月以後の給与から)
- 源泉徴収票翌年1月31日まで(令和8年分は2027年2月1日)に交付。年の途中で退職した人には、退職の日以後1か月以内
国(税務署)
- 源泉徴収票提出範囲は、年の途中で退職し、支払った給与が30万円以下の人を除く全員の分。令和9年1月1日以後は、市区町村へ給与支払報告書を出せば税務署に提出したものとみなされ、税務署への提出は不要です(みなし提出の特例)。本人への交付は、これまでどおり必要です
- 法定調書合計表翌年1月31日まで(令和8年分は2027年2月1日)
市区町村
- 給与支払報告書従業員の1月1日現在の住所地へ、翌年1月31日まで(令和8年分は2027年2月1日)。翌年度の住民税の計算に使われます
対象となる人
12月に年末調整をする人
- 勤務先に「扶養控除等(異動)申告書」を提出している人(源泉徴収税額表の甲欄適用者)で、1年を通じて勤務している人
- 年の途中で就職し、年末まで勤務している人。前職の源泉徴収票の金額を合算して年末調整します
年の途中で年末調整をする人
年の途中で退職した人は、原則として年末調整の対象外です。
例外として、次の人は退職などのときに年末調整をします。
- 死亡により退職した人
- 著しい心身の障害のために退職した人(退職後その年に再就職して給与を受け取る見込みがある人を除く)
- 12月分の給与を受け取った後に退職した人
- パートタイマーなどが退職した場合で、その年の給与の総額が136万円以下の人(退職後その年にほかの勤務先から給与を受け取る見込みがある人を除く)
- 海外の支店などへの転勤により、年の途中で非居住者になった人
136万円は令和8年分の基準です(令和7年分は123万円、令和6年分までは103万円)。
- 年の途中で退職した人のうち、上の例外に当てはまらない人
- その年の給与の収入金額が 2,000万円 を超える人
- ほかの勤務先に扶養控除等申告書を出している人や、年末調整のときまでに出していない人(乙欄の人)。勤務先が1か所だけで出していない人には、提出するよう指導します
- 日雇いの人など(丙欄の人)
- 非居住者(国内に住所も1年以上の居所もない人)
- 災害減免法により源泉徴収の猶予等を受けた人
これらの人は、必要に応じて本人が確定申告をします。
1年のスケジュール
期限が土日・祝日に当たるときは、その翌日(休日が続くときは休み明けの日)が期限になります。
令和8年度の税制改正は令和8年12月1日に施行され、令和8年分の所得税から適用されます。令和8年中の毎月の源泉徴収は改正前の税額表のままで、12月の年末調整で改正後の控除額(扶養親族などの所得要件62万円以下、基礎控除の本則62万円(所得に応じた加算あり)、給与所得控除の最低保障額74万円など)を使って1年分を精算します。
令和8年分(2026年)の改正点
令和7年度・令和8年度の税制改正により、令和8年分は基礎控除と給与所得控除がさらに引き上げられました。扶養親族などの所得要件も 58万円から 62万円 になりました。
改正のねらい
物価上昇への対応と「103万円の壁」の見直しのため、基礎控除と給与所得控除の最低保障額を10万円ずつ上げました。
低・中所得者には基礎控除の特例の上乗せを設け、扶養親族などの所得要件も58万円に上げました。
大学生年代の子のアルバイト収入に対応するため、特定親族特別控除を新設しました。
物価上昇に連動して基礎控除と給与所得控除を上げる仕組みを作り、基礎控除の本則を62万円、給与所得控除の最低保障額を本則69万円にしました。
令和8・9年分は特例として、基礎控除に最大42万円、給与所得控除に5万円を上乗せします。
これにより、給与収入だけの人は178万円まで所得税がかかりません。
扶養親族などの所得要件も、基礎控除の本則と同じく62万円に上げました。
改正内容(令和7年分との比較)
| 項目 | 令和7年分 | 令和8年分 |
|---|---|---|
| 基礎控除(本則、合計所得2,350万円以下) | 58万円 | 62万円 |
| 基礎控除の特例加算 | 132万円以下 95万円/336万円以下 88万円/489万円以下 68万円/655万円以下 63万円 | 489万円以下 104万円(+42万円)/655万円以下 67万円(+5万円) |
| 給与所得控除の最低保障額 | 65万円 | 74万円(本則69万円+特例5万円) |
| 同一生計配偶者・扶養親族の所得要件 | 58万円以下(給与収入123万円以下) | 62万円以下(給与収入136万円以下) |
| 配偶者特別控除の対象となる配偶者の所得 | 58万円超133万円以下 | 62万円超133万円以下 |
| 特定親族特別控除の対象となる所得 | 58万円超123万円以下 | 62万円超123万円以下(給与収入197万円以下) |
| 勤労学生の所得要件 | 85万円以下(給与収入150万円以下) | 89万円以下(給与収入163万円以下) |
| ひとり親控除の「子」の所得要件 | 58万円以下 | 62万円以下 |
| 一般生命保険料控除(23歳未満の扶養親族がいる場合) | 新契約の上限4万円 | 新契約の上限6万円(令和8年分・令和9年分に限る時限措置。所得税のみ。合計上限12万円は変わらず) |
給与所得控除・所得金額調整控除・基礎控除の推移
所得要件の推移
課税最低限は、ほかに所得控除がない場合の「基礎控除(特例を含む最大額)+給与所得控除の最低保障額」です。令和2年分の改正の詳しい内容は「令和2年の改正」を参照してください。
適用時期と月々の源泉徴収
改正は令和8年12月1日に施行され、12月の年末調整で1年分をまとめて精算します。
令和8年中の毎月の源泉徴収は改正前の税額表で計算されています。改正後の税額表は令和9年1月以後の支払分から使います。差額は12月の年末調整で精算されるため、例年より還付額が大きくなる人が多くなります。
令和6年分にあった定額減税の処理は、令和8年分にはありません。
給与収入だけの人の場合、基礎控除104万円+給与所得控除74万円=178万円までは所得税がかかりません。
令和2年分の改正(平成30年度・令和2年度税制改正)
給与所得控除・基礎控除・所得金額調整控除の3つは、令和2年分からの改正で一体として見直されました。今の制度を理解する土台になる改正です。同じ令和2年分から、婚姻歴や性別を問わない「ひとり親控除」も新設されました。
改正のねらい
働き方の多様化に対応するため、給与所得控除と公的年金等控除を10万円ずつ下げ、その分をどんな所得の人も使える基礎控除に振り替えました。会社員・年金受給者だけの控除を減らし、フリーランスなどとの差を小さくするためです。あわせて、高所得者の控除も見直しました。
改正内容
| 項目 | 令和元年分まで | 令和2年分から |
|---|---|---|
| 給与所得控除(最低保障額) | 65万円 | 55万円(−10万円) |
| 給与所得控除(上限) | 220万円(収入1,000万円超) | 195万円(収入850万円超) |
| 公的年金等控除 | — | 一律10万円下げる。年金以外の所得が1,000万円を超える人はさらに減額 |
| 基礎控除 | 38万円(所得制限なし) | 48万円(+10万円)。合計所得2,400万円超で段階的に減り、2,500万円超はゼロ |
| 所得金額調整控除 | なし | 新設(下の「影響と調整」を参照) |
| 扶養親族・同一生計配偶者の所得要件 | 38万円以下 | 48万円以下(給与収入103万円以下は変わらず) |
| 勤労学生の所得要件 | 65万円以下 | 75万円以下(給与収入130万円以下は変わらず) |
影響と調整:給与収入だけの人
給与所得控除が下がった分と基礎控除が上がった分が相殺されるかどうかで、影響が決まります。収入850万円以下の人は、給与所得控除が10万円減り、基礎控除が10万円増えるので、負担は変わりません。収入850万円を超えると給与所得控除の減り方が10万円より大きくなり、負担が増えます。
| 給与収入 | 給与所得控除の変化 | 基礎控除の変化 | 差し引き | 所得金額調整控除 (子育て・介護世帯等) |
|---|---|---|---|---|
| 850万円以下 | −10万円 | +10万円 | ±0 | — |
| 900万円 | −15万円(210万→195万) | +10万円 | −5万円 | +5万円 → ±0 |
| 1,000万円以上 | −25万円(220万→195万) | +10万円 | −15万円 | +15万円 → ±0 |
この差し引きのマイナスを、23歳未満の扶養親族や特別障害者の家族がいる人に限って埋めるのが所得金額調整控除です。(収入 − 850万円)× 10%、最大15万円という計算式は、この表のマイナス分と一致するように作られています。
影響と調整:給与と公的年金の両方がある人
給与所得控除と公的年金等控除の両方で10万円ずつ減るのに、基礎控除は1回しか10万円増えません。差し引き10万円の負担増になるため、給与所得と年金所得の合計から最大10万円を差し引く所得金額調整控除も設けられました。こちらは年末調整では扱わず、確定申告で適用します。
その後の推移
所得要件の推移
その他の改正(ひとり親控除の創設・令和2年度税制改正)
改正前は、同じひとり親でも、結婚後に離婚・死別した人は寡婦(寡夫)控除を受けられるのに、未婚の人は受けられず、婚姻歴の有無で扱いが違っていました。
また、子のいる女性(特別の寡婦)は35万円、男性(寡夫)は27万円と、男女でも控除額が違っていました。
この2つの差をなくすため、婚姻歴や性別にかかわらず、生計を一にする子を持つひとり親に35万円を控除する「ひとり親控除」を新設しました。
特別の寡婦と寡夫控除はひとり親控除にまとめ、ひとり親に当たらない寡婦には寡婦控除(27万円)を残しました。
ひとり親控除・寡婦控除ともに、本人の合計所得500万円以下と、事実婚の相手がいないことを要件にしました。
| 項目 | 令和元年分まで | 令和2年分から |
|---|---|---|
| 未婚のひとり親 | 対象外 | ひとり親控除 35万円 |
| 子のいる女性(死別・離別) | 特別の寡婦 35万円(所得500万円以下) | ひとり親控除 35万円 |
| 子のいる男性(死別・離別) | 寡夫 27万円 | ひとり親控除 35万円 |
| 子以外の扶養親族がいる、または死別した女性 | 寡婦 27万円 | 寡婦 27万円(所得500万円以下に限る) |
| 事実婚の相手がいる人 | 要件なし | 対象外 |
ひとり親控除・寡婦控除の判定表(令和2年分の前後)
- 扶養控除等申告書の「障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」欄に、ひとり親・寡婦の区分を記入します
- 住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」の記載があるなど、事実婚の相手がいないかを確認します
- ひとり親控除の「子」は、総所得金額等が一定額以下(令和2年分は48万円、令和8年分は62万円以下)で、ほかの人の扶養親族などになっていない子に限られます
その他の改正(年末調整の電子化)
令和2年分の年末調整から、保険会社などが発行する生命保険料・地震保険料の控除証明書を、電子データで受け取って提出できるようになりました。
国民年金保険料や、iDeCoなどの小規模企業共済等掛金の控除証明書も、電子データで提出できるようになりました。
ねらいは、年末調整の手続きを電子化し、紙の書類の手間を減らすことです。
令和7年分の改正(令和7年度税制改正)
いわゆる「103万円の壁」の見直しとして、基礎控除と給与所得控除の最低保障額が上がり、扶養親族などの所得要件も58万円になりました。大学生年代の子を対象とする特定親族特別控除も新設されました。
改正のねらい
物価上昇への対応として、基礎控除と給与所得控除の最低保障額を10万円ずつ上げました。
低・中所得者の負担を軽くするため、合計所得655万円以下の人に基礎控除の特例の上乗せを設けました。
大学生年代の子のアルバイトで起きていた就業調整(いわゆる「150万円の壁」)をなくすため、特定親族特別控除を新設しました。
改正内容(令和6年分との比較)
| 項目 | 令和6年分 | 令和7年分 |
|---|---|---|
| 基礎控除(本則) | 48万円 | 58万円 |
| 基礎控除の特例加算 | なし | 合計所得132万円以下 95万円/336万円以下 88万円/489万円以下 68万円/655万円以下 63万円 |
| 給与所得控除の最低保障額 | 55万円 | 65万円 |
| 扶養親族・同一生計配偶者の所得要件 | 48万円以下(給与収入103万円以下) | 58万円以下(給与収入123万円以下) |
| 配偶者特別控除の対象となる配偶者の所得 | 48万円超133万円以下 | 58万円超133万円以下 |
| 特定親族特別控除 | なし | 新設(19〜22歳、所得58万円超123万円以下) |
| 勤労学生の所得要件 | 75万円以下(給与収入130万円以下) | 85万円以下(給与収入150万円以下) |
| ひとり親控除の「子」の所得要件 | 48万円以下 | 58万円以下 |
基礎控除の特例加算は、令和8年度改正で「489万円以下 42万円/655万円以下 5万円」の上乗せ(令和8・9年分)に見直されました。
年末調整での扱い
- 令和7年12月1日に施行され、令和7年分は12月の年末調整で改正後の控除額を適用して精算しました
- 令和7年中の月々の源泉徴収は改正前の税額表のままだったため、年末調整での還付が例年より大きくなりました
- 特定親族特別控除の申告欄が、基礎控除申告書などの兼用様式に加わりました
令和6年分の改正(令和6年度税制改正)
令和6年分に限り、所得税と住民税から一定額を差し引く「定額減税」が行われました。年末調整で減税額を精算した、一度限りの措置です。あわせて、令和6年以後に居住を始めた人の住宅ローン控除の借入限度額が見直されました。
改正のねらい
賃金の上昇が物価の上昇に追いつくまでの間、家計の負担を和らげるための一時的な措置です。
改正内容(定額減税)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所得税の減税額 | 本人3万円+同一生計配偶者・扶養親族(居住者)1人につき3万円 |
| 住民税の減税額 | 本人1万円+同一生計配偶者・扶養親族1人につき1万円 |
| 対象者 | 合計所得金額1,805万円以下(給与収入のみなら2,000万円以下)の居住者 |
| 扶養親族の範囲 | 16歳未満の年少扶養親族も含む |
年末調整での扱い
- 令和6年6月以後の給与・賞与から、月々の源泉徴収税額を減らす「月次減税」を行いました
- 年末調整では、住宅ローン控除後の所得税額から「年調減税額」を差し引き、そのあとで102.1%を掛けて年税額を求めました
- 源泉徴収票の摘要欄に、定額減税の実施額などを記載しました
- 令和7年分・令和8年分には定額減税はありません
その他の改正(住宅ローン控除の借入限度額)
令和6年以後に居住を始めた新築住宅などの借入限度額を引き下げました。
認定住宅は4,500万円、ZEH水準省エネ住宅は3,500万円、省エネ基準適合住宅は3,000万円で、省エネ基準を満たさない新築住宅は原則として対象外になりました。
子育て世帯(19歳未満の子がいる世帯)と若者夫婦世帯(夫婦のどちらかが40歳未満)は、令和4・5年と同じ水準(5,000万円・4,500万円・4,000万円)を維持しました。
ねらいは、省エネ基準への適合を促しつつ、子育て世帯の住宅取得を支えることです。
令和5年分の改正(令和2年度税制改正)
国外に住む親族(国外居住親族)を扶養控除の対象にできる範囲が見直され、30歳以上70歳未満の人は、留学生・障害者・一定額以上の送金を受けている人に限られました。
改正のねらい
国外に住む親族については、扶養の実態を確認しにくく、実際には生活費を援助していないのに扶養控除を受けている例がありました。
扶養の実態がある人に控除を限るため、働き盛りの年代(30歳以上70歳未満)について対象を絞りました。
改正内容(令和4年分との比較)
| 国外居住親族の年齢 | 令和4年分まで | 令和5年分から |
|---|---|---|
| 16歳以上30歳未満 | 対象 | 対象(変更なし) |
| 30歳以上70歳未満 | 対象 | 次のいずれかに当てはまる人に限る ・留学により国内に住所・居所がなくなった人 ・障害者 ・その年に本人から生活費・教育費として38万円以上の送金を受けている人 |
| 70歳以上 | 対象 | 対象(変更なし) |
必要な書類
| 区分 | 扶養控除等申告書の提出時 | 年末調整の時 |
|---|---|---|
| すべての国外居住親族 | 親族関係書類 | 送金関係書類 |
| 30〜69歳の留学生 | 親族関係書類+留学ビザ等書類 | 送金関係書類 |
| 30〜69歳で38万円以上の送金を受けている人 | 親族関係書類 | 38万円以上の送金を確認できる送金関係書類 |
年末調整での扱い
- 扶養控除等申告書に、国外居住親族が「留学」「障害者」「38万円以上の支払」のどれに当たるかを記入します
- 38万円以上の送金で対象にする場合は、年末調整の時までにその年の送金額の合計が38万円以上であることを書類で確認します
- 書類が外国語の場合は、日本語訳を添付します
令和4年分の改正(令和4年度税制改正)
住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)が大きく見直され、控除率が1%から0.7%に、本人の所得要件が3,000万円以下から2,000万円以下になりました。令和4年以後に居住を始めた人が対象です。
改正のねらい
低金利が続き、住宅ローンの金利が控除率1%を下回る人が多くなっていました。
借入れをした方が得になる「逆ざや」をなくすため、控除率を0.7%に下げました。
あわせて、省エネ性能の高い住宅ほど借入限度額を高くし、環境に配慮した住宅の取得を後押しする仕組みにしました。
改正内容(新築住宅、令和3年までの居住との比較)
| 項目 | 令和3年までに居住 | 令和4年以後に居住 |
|---|---|---|
| 控除率 | 1% | 0.7% |
| 控除期間 | 10年(特例で13年) | 原則13年(中古住宅は10年) |
| 本人の所得要件 | 合計所得3,000万円以下 | 合計所得2,000万円以下 |
| 借入限度額(令和4・5年居住) | 4,000万円(認定住宅は5,000万円) | 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 5,000万円/ZEH水準省エネ住宅 4,500万円/省エネ基準適合住宅 4,000万円/その他の住宅 3,000万円 |
| 所得税から控除しきれない額の住民税での控除上限 | 課税総所得金額等の7%(最高13.65万円) | 課税総所得金額等の5%(最高9.75万円) |
令和6年以後に居住を始めた場合は、借入限度額がさらに見直されています。年末調整では、税務署から送付された申告書に記載された内容に従って計算します。
年末調整での扱い
- 初年度は確定申告が必要で、2年目以降は年末調整で控除できます(この点は改正前と同じ)
- 居住を始めた年によって控除率・控除期間・借入限度額が違うため、住宅借入金等特別控除申告書の記載内容を確認します
- 令和3年以前に居住を始めた人は、改正前の控除率(1%)のまま計算します
- 金融機関に適用申請書を出した人(調書方式)は、金融機関から税務署に残高の情報が提供されるため、年末残高等証明書の添付が不要です。それ以外(証明書方式)は添付が必要です
その他の改正(iDeCoの加入要件の緩和)
令和4年5月から、iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入できる年齢が60歳未満から65歳未満(国民年金の被保険者に限る)に引き上げられました。
令和4年10月から、企業型確定拠出年金の加入者も、規約の定めがなくてもiDeCoに加入しやすくなりました。
iDeCoの掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象なので、控除を受けられる人が広がりました。ねらいは、働き方の多様化と高齢期の就労の広がりに合わせることです。
令和3年分の改正(令和3年度税制改正)
税務書類への押印が原則不要になり、年末調整の申告書を電子データで受け取るための手続きも簡単になりました。住宅ローン控除では、控除期間13年の特例が延長され、床面積の要件も緩められました。
改正のねらい
行政手続のデジタル化を進めるため、書面への押印をやめ、申告書の電子提出をしやすくしました。
新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込んだ住宅需要を支えるため、住宅ローン控除の特例を延長しました。
改正内容
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 扶養控除等申告書などへの押印 | 本人の押印が必要 | 押印は不要(令和3年4月1日以後に提出するもの) |
| 申告書を電子データで受け取る場合の手続き | 勤務先が税務署長の承認を受ける必要があった | 承認は不要(令和3年4月1日以後) |
| 住宅ローン控除の控除期間13年の特例 | 令和2年末までの居住が対象 | 一定期間内に契約し、令和4年末までに居住した場合も対象 |
| 住宅ローン控除の床面積要件 | 50㎡以上 | 合計所得1,000万円以下の年に限り、40㎡以上50㎡未満も対象(特例の適用分) |
年末調整での扱い
- 令和3年分の年末調整から、扶養控除等申告書・保険料控除申告書・兼用様式などに押印をもらう必要がなくなりました
- 年末調整ソフトなどで作成した申告書を、税務署長の承認なしに電子データで受け取れるようになりました
- 保険料控除証明書などの電子データ(令和2年分から利用可能)とあわせて、年末調整の電子化が進みました
- 住宅ローン控除の特例(40㎡以上50㎡未満の住宅)を受けている人は、その年の合計所得が1,000万円を超えると控除を受けられません
平成30年分の改正(平成29年度税制改正)
配偶者控除と配偶者特別控除が見直され、本人の所得による制限と、配偶者の収入150万円まで38万円を控除できる仕組みができました。
改正のねらい
パート収入を103万円以内に抑える就業調整を減らし、配偶者が働きやすくするための見直しです。
あわせて、高所得者の配偶者控除を段階的に減らし、本人の合計所得1,000万円超では受けられないようにしました。
改正内容(平成29年分との比較)
| 項目 | 平成29年分まで | 平成30年分から |
|---|---|---|
| 配偶者控除の本人の所得制限 | なし | 900万円超で26万円、950万円超で13万円、1,000万円超は対象外 |
| 配偶者特別控除の対象となる配偶者の所得 | 38万円超76万円未満(給与収入103万円超141万円未満) | 38万円超123万円以下(給与収入103万円超 約201万円) |
| 38万円を控除できる配偶者の所得の上限 | 配偶者控除の範囲(給与収入103万円)まで | 85万円(給与収入150万円)まで |
| 源泉控除対象配偶者 | なし | 新設(本人900万円以下、配偶者85万円以下) |
年末調整での扱い
- 本人の所得の見積額によって控除額が変わるため、「配偶者控除等申告書」が新しく設けられました
- 現在の兼用様式(基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 …)の「配偶者控除等申告書」欄はここから始まりました
平成23年分の改正(平成22年度税制改正)
子ども手当(現在の児童手当)の創設と高校授業料の無償化に合わせて、子どもに関する扶養控除が見直されました。
改正のねらい
子育て支援を、所得から差し引く「控除」から、直接支給する「手当」へ切り替えるための見直しです。
年少扶養控除の廃止後も障害のある子などへの配慮を続けるため、同居特別障害者の加算を障害者控除に移しました。
改正内容(平成22年分との比較)
| 項目 | 平成22年分まで | 平成23年分から |
|---|---|---|
| 16歳未満の扶養親族(年少扶養親族) | 扶養控除38万円 | 扶養控除なし |
| 特定扶養親族(63万円)の年齢 | 16歳以上23歳未満 | 19歳以上23歳未満(16〜18歳は一般の38万円) |
| 同居特別障害者 | 障害者控除40万円+扶養控除などへの加算35万円 | 障害者控除75万円に一本化 |
年末調整での扱い
- 16歳未満の子は扶養控除の対象外になりましたが、住民税の計算などに使うため、扶養控除等申告書の「住民税に関する事項」欄に記入します
- 16歳未満の子でも、障害者控除や、現在の所得金額調整控除・生命保険料控除の上限引上げの判定には含まれます
令和元年の改正(令和元年度税制改正)
消費税率の10%への引上げに合わせて、住宅ローン控除の控除期間を13年に延ばす特例が設けられました。令和元年10月以後に居住を始めた人が対象です。
改正のねらい
消費税率の引上げで住宅の購入費用が増える分を、住宅ローン控除で後から取り戻せるようにし、住宅需要の落ち込みを防ぐための特例です。
改正内容
| 項目 | 改正前 | 令和元年10月〜令和2年末の居住(消費税10%で取得) |
|---|---|---|
| 控除期間 | 10年 | 13年 |
| 1〜10年目の控除額 | 年末残高 × 1% | 年末残高 × 1%(変更なし) |
| 11〜13年目の控除額 | なし | 「年末残高 × 1%」と「建物の取得価額(税抜)× 2% ÷ 3」の少ない方 |
この特例は、令和3年度改正で令和4年末までの居住に延長されました(「令和3年の改正」を参照)。
年末調整での扱い
- 11年目以降の控除額は計算方法が変わるため、住宅借入金等特別控除申告書の記載内容に従って計算します
- 初年度は確定申告、2年目以降は年末調整で控除できる点は変わりません
平成29年の改正(iDeCoの加入対象の拡大)
平成29年1月から、個人型確定拠出年金(iDeCo)に、公務員や専業主婦(夫)、企業年金のある会社員なども加入できるようになりました。
改正のねらい
老後に向けた資産づくりを自分で行う仕組みを、ほぼすべての現役世代が使えるようにするための見直しです。
改正内容
| 加入者の区分 | 平成28年まで | 平成29年から |
|---|---|---|
| 自営業者など(第1号被保険者) | 加入できる | 加入できる |
| 企業年金のない会社員 | 加入できる | 加入できる |
| 企業年金のある会社員 | 加入できない | 加入できる |
| 公務員 | 加入できない | 加入できる |
| 専業主婦(夫)(第3号被保険者) | 加入できない | 加入できる |
年末調整での扱い
- iDeCoの掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象で、全額を控除できます
- 本人が直接払い込む場合は、保険料控除申告書に記入し、払込証明書を添付します
- 給与から天引きする場合(事業主払込)は、会社が把握しているので申告は不要です
平成26年の改正(平成25年度税制改正)
消費税率の8%への引上げに合わせて、住宅ローン控除の借入限度額が引き上げられました。平成26年4月以後に居住を始めた人が対象です。
改正のねらい
消費税率の引上げによる住宅購入の負担増をやわらげ、駆け込み需要と反動減を小さくするための見直しです。
改正内容
| 項目 | 平成26年3月までの居住 | 平成26年4月以後の居住(消費税8%・10%で取得) |
|---|---|---|
| 借入限度額(一般の住宅) | 2,000万円 | 4,000万円 |
| 借入限度額(認定住宅) | 3,000万円 | 5,000万円 |
| 控除率・控除期間 | 1%・10年 | 1%・10年 |
| 住民税での控除の上限 | 9.75万円 | 13.65万円 |
年末調整での扱い
- 居住を始めた時期と、取得時の消費税率によって借入限度額が違うため、申告書の記載内容を確認します
平成24年の改正(平成22年度税制改正)
生命保険料控除が見直され、介護医療保険料控除が新設されて、一般・介護医療・個人年金の3区分になりました。平成24年1月1日以後に締結した契約が対象です。
改正のねらい
医療や介護への備えを後押しするため、介護医療保険料の区分を新しく設けました。
あわせて、各区分の上限を4万円にそろえ、合計の上限を12万円にしました。
改正内容
| 区分 | 旧契約(平成23年12月31日以前) | 新契約(平成24年1月1日以後) |
|---|---|---|
| 一般生命保険料 | 最高5万円 | 最高4万円 |
| 介護医療保険料 | なし(一般生命保険料に含まれた) | 最高4万円(新設) |
| 個人年金保険料 | 最高5万円 | 最高4万円 |
| 合計の上限 | 10万円 | 12万円 |
年末調整での扱い
- 契約ごとに新契約・旧契約を確認し、区分ごとに計算します
- 新旧両方の契約がある区分は、有利な方法(旧だけで計算、または新旧合計で上限4万円)を選べます
- 平成24年以後に更新や特約の中途付加をした旧契約は、新契約として扱います
平成19年の改正(平成18年度税制改正)
損害保険料控除が廃止され、地震保険料控除が新設されました。
改正のねらい
地震災害への備えを後押しするため、損害保険全般を対象にしていた控除を、地震保険に絞って手厚くしました。
改正内容
| 項目 | 平成18年分まで | 平成19年分から |
|---|---|---|
| 控除の名称 | 損害保険料控除 | 地震保険料控除 |
| 地震保険料 | 損害保険料に含めて計算 | 全額(最高5万円) |
| 長期損害保険料 | 最高1万5千円 | 平成18年末までの契約に限り最高1万5千円(経過措置) |
| 短期損害保険料 | 最高3千円 | 廃止 |
| 上限 | 1万5千円 | 5万円 |
年末調整での扱い
- 火災保険料は対象外になり、地震保険料の部分だけを控除します
- 平成18年末までに締結した長期損害保険契約は、「旧長期損害保険料」として引き続き控除できます
平成13年の改正(確定拠出年金の創設)
平成13年10月に確定拠出年金法が施行され、企業型と個人型(iDeCo)の確定拠出年金が始まりました。
改正のねらい
公的年金に上乗せする私的年金として、加入者が自分で運用先を選ぶ年金制度をつくり、税制面でも後押しするためです。
改正内容
| 項目 | 平成13年10月より前 | 平成13年10月から |
|---|---|---|
| 小規模企業共済等掛金控除の対象 | 小規模企業共済、心身障害者扶養共済 | 上記+確定拠出年金の個人型(iDeCo)の掛金、企業型の加入者掛金 |
| 控除額 | 全額 | 全額 |
年末調整での扱い
- iDeCoの掛金は、給与天引きなら会社が把握し、本人払込なら保険料控除申告書で申告します
- 企業型の加入者掛金(マッチング拠出)は、給与から天引きされるので申告は不要です
年齢・所得の判定(令和8年12月31日現在)
| 区分 | 年齢 | 生年月日 | 控除額 |
|---|---|---|---|
| 年少扶養親族 | 16歳未満 | 平成23年1月2日以後 | 控除なし |
| 一般の控除対象扶養親族 | 16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満 | 昭和32年1月2日〜平成23年1月1日(特定扶養を除く) | 38万円 |
| 特定扶養親族 | 19歳以上23歳未満 | 平成16年1月2日〜平成20年1月1日 | 63万円 |
| 老人扶養親族 | 70歳以上 | 昭和32年1月1日以前 | 48万円(同居老親等 58万円) |
| 老人控除対象配偶者 | 70歳以上 | 昭和32年1月1日以前 | 最高48万円 |
年齢は、誕生日の前日が終わるときに1つ加わります(年齢計算ニ関スル法律、民法第143条)。そのため、1月1日生まれの人は前年の12月31日に年齢が加わり、生年月日の区切りは「1月2日」になります。
所得要件は「合計所得金額」で判定します。給与収入だけなら、給与収入から給与所得控除(令和8年分は最低74万円)を引いた額です。
- 給与収入 136万円以下 → 合計所得 62万円以下 → 扶養控除・配偶者控除の対象
- 給与収入 136万円超 197万円以下(19〜22歳) → 特定親族特別控除の対象
- 給与収入 136万円超 207万円以下(配偶者) → 配偶者特別控除の対象
年末調整でできない控除
次の控除は年末調整では扱えません。本人が確定申告をする必要があります。
- 医療費控除(セルフメディケーション税制を含む)
- 寄附金控除(ふるさと納税。ワンストップ特例を使う場合を除く)
- 雑損控除
- 住宅借入金等特別控除の初年度(2年目以降は年末調整で控除できます)
- 給与と公的年金の両方がある場合の所得金額調整控除(年末調整で扱うのは子ども・特別障害者等の要件によるものだけです)
実務チェックリスト
書類をまたいで確認することをまとめます。書類ごとの確認は、 の各ページの「回収・点検のチェックポイント」にあります。
- 扶養親族の所得見積額は 62万円以下か。超える場合は、扶養控除等申告書から兼用様式の特定親族特別控除(19〜22歳)や配偶者特別控除への切替えを確認
- 19〜22歳で給与収入 136万円超の子は、扶養控除等申告書ではなく特定親族特別控除申告書への記載が必要
- 配偶者の所得見積額が、扶養控除等申告書(源泉控除対象配偶者)と配偶者控除等申告書で食い違っていないか
- 23歳未満の扶養親族が、扶養控除等申告書・所得金額調整控除申告書・保険料控除申告書の☆欄で食い違っていないか(特定親族は含まない)
- 社会保険料・iDeCoを、給与天引き分(源泉徴収簿)と本人払い分(保険料控除申告書)で二重に数えていないか