年末調整の時期に、会社から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」が配られます。毎年出しているけれど、何のための書類なのか、どの欄に誰を書けばいいのか、迷う人も多いと思います。この記事では、扶養控除等申告書の目的、出す前に準備するもの、欄ごとの書き方とよくある間違いを説明します。
この記事でわかること
- 扶養控除等申告書は何のための書類か、なぜ翌年分を出すのか
- 出す前に準備するもの
- 欄ごとの書き方と、よくある間違い
※2026年11月時点の情報です。例は、2026年の年末調整の時期に出す令和9年分(2027年分)の様式です。金額や生年月日の範囲は、年によって変わることがあります。
結論:扶養している家族などを、会社に伝える書類
ポイント
- 扶養控除等申告書は、扶養している家族などを会社に伝えて、毎月の給料から引かれる所得税と年末調整に反映してもらう書類
- 年末調整の時期に出すのは、翌年分の申告書。家族がいなくても、毎年出す
- 年の途中で家族が増えたり減ったりしたら、出し直す
扶養控除等申告書は何のための書類?
扶養控除等申告書は、会社員が、給料について扶養控除などを受けるために会社に出す書類です。会社は、この申告書をもとに、次のことをします。
- 毎月の給料から引く所得税を決める:扶養している家族の人数などを、毎月の所得税に反映します
- 年末調整で、扶養控除などを計算する:その年の所得税を精算するときに使います
- 住民税の計算にも使われる:16歳未満の子など、所得税の扶養控除の対象にならない家族も、住民税のために書きます
扶養控除等申告書は、年末調整のためだけの書類ではありません。毎月の給料を計算するために必要な書類です。
扶養している家族がいない人も、この申告書は出します。出さないと、毎月の所得税が、税額が高めの表(乙欄)で計算されます。
給料を2か所以上からもらっている人は、扶養控除等申告書を出せるのは1か所だけです。ふつうは、メインの勤務先に出します。
なぜ「翌年分」を出すのか
年末調整の時期に配られる扶養控除等申告書は、翌年分です。たとえば2026年の秋に出すのは、令和9年分(2027年分)の申告書です。
翌年1月の最初の給料から、毎月の所得税の計算に使うためです。そのため、家族の年齢や所得は、翌年の12月31日時点の年齢と、翌年1年間の所得の見込みで考えます。
出す前に準備するもの
| 準備するもの | 使う欄 |
|---|---|
| 自分の個人番号(マイナンバー) | あなたの個人番号 |
| 世帯主の氏名と、自分との続柄(住民票と同じ) | 世帯主の氏名・あなたとの続柄 |
| 配偶者・扶養する家族の氏名、フリガナ、生年月日、続柄 | A・B・住民税に関する事項 |
| 配偶者・扶養する家族の個人番号(マイナンバー) | A・B・住民税に関する事項 |
| 家族の翌年1年間の所得の見積額 | A・B(所得の見積額の欄) |
| 別居している家族の住所 | A・B(住所又は居所) |
| 障害者手帳などの種類と等級(障害のある家族がいる場合) | C |
| 国外に住む家族の、親族関係・送金の書類(いる場合) | B(非居住者である親族) |
所得の見積額の出し方は、所得とは?収入との違いと、年末調整の申告書に書く家族の「所得の見積額」の出し方で説明しています。
※個人番号は、会社によっては書かなくてよい場合があります。勤務先の案内に従ってください。
書き方(令和9年分の様式で、欄ごと)
上の段の「所轄税務署長等」「給与の支払者の名称」などは、会社の案内に従って書きます(「給与の支払者の法人番号」は会社が書くので、書く必要はありません)。
あなた(本人)の情報A 源泉控除対象配偶者B 源泉控除対象親族C 障害者・寡婦などD 他の所得者が控除住民税に関する事項
あなた(本人)の情報
- あなたの氏名・生年月日・個人番号・住所又は居所:自分のことを書きます
- 世帯主の氏名・あなたとの続柄:住民票の世帯主を書きます。自分が世帯主なら、続柄は「本人」です
- 配偶者の有無:配偶者がいれば「有」に○をします(配偶者の所得に関係なく、結婚していれば「有」)
- 従たる給与についての扶養控除等申告書の提出:ほかの会社にも「従たる給与」用の申告書を出している場合に○をします。ふつうは空けておきます
A源泉控除対象配偶者
所得の見込みが一定以下の配偶者を書きます。令和9年分の様式では、あなたの所得の見積額が900万円以下で、配偶者の所得の見積額が95万円以下の場合です。
- 配偶者の氏名・フリガナ・個人番号・生年月日・令和9年中の所得の見積額を書きます
- 別居している場合は、住所を書きます
この欄に書くのは、毎月の給料から引く所得税のためです。年末調整で配偶者控除・配偶者特別控除を受けるには、別に「配偶者控除等申告書」を出します。
B源泉控除対象親族(16歳以上)
配偶者以外で、あなたと生計を一にする16歳以上の家族(子・親など)のうち、所得の見込みが一定以下の人を書きます。令和9年分の様式では、次の人です。
- 16歳以上(平成24年1月1日以前生まれ)で、令和9年中の所得の見積額が62万円以下の人
- 19歳以上23歳未満(平成17年1月2日〜平成21年1月1日生まれ)で、所得の見積額が62万円超100万円以下の人(特定親族)
家族ごとに、氏名・フリガナ・個人番号・続柄・生年月日・所得の見積額を書き、当てはまる区分に○をします。
| 区分 | 令和9年分の様式での目安 |
|---|---|
| 特定扶養親族・特定親族 | 19歳以上23歳未満(平成17年1月2日〜平成21年1月1日生まれ) |
| 老人扶養親族 | 70歳以上(昭和33年1月1日以前生まれ)。同居している親・祖父母は「同居老親等」 |
19歳〜22歳の子のアルバイト代と控除のしくみは、大学生の子のアルバイト、2026年はいくらまで?で説明しています。
※国外に住む家族を書く場合は、「非居住者である親族」の欄にも書き、親族関係や送金を示す書類が必要です。詳しくは勤務先に確認してください。
C障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生
次の人がいる場合に、当てはまる区分に○をし、人数などを書きます。
- あなた・同一生計配偶者(所得の見積額が62万円以下の配偶者)・扶養している家族に、障害者がいる
- あなたが、寡婦・ひとり親・勤労学生に当たる
障害の種類や等級は、障害者手帳などで確認して書きます。
D他の所得者が控除を受ける扶養親族等
あなたと生計を一にする家族のうち、ほかの人(配偶者など)が扶養控除などを受ける人について書く欄です。当てはまらなければ、空けておきます。
住民税に関する事項
所得税の扶養控除の対象にならない家族を、住民税のために書く欄です。
- 16歳未満の扶養親族(令和9年分では平成24年1月2日以後生まれ):子どもの氏名・個人番号・生年月日などを書きます。所得税の扶養控除はありませんが、住民税の計算に使われます
書く家族がいない場合
- 配偶者や扶養する家族がいない人も、本人の欄だけ書いて出します
あなたの情報で申告書を作る
年末調整ツール(令和8年分)|申告書の下書き・計算シミュレーション・申告書ガイド
年の途中で家族が変わったら(異動申告)
結婚・出産・子どもの就職・家族の死亡などで、申告書に書いた内容が変わったときは、そのあと最初の給料の前日までに、変わった内容を書いた申告書を出し直します。「異動月日及び事由」の欄に、変わった日と理由を書きます。
よくある間違い
- 今年分と翌年分を取り違える:年末調整の時期に配られるのは翌年分です。年分を確認しましょう
- 今の年齢で区分を考える:区分は、翌年の12月31日時点の年齢で決まります。生年月日の範囲で確認しましょう
- 収入をそのまま「所得の見積額」に書く:所得は、収入から給与所得控除などを引いた金額です
- 16歳未満の子を書かない:「住民税に関する事項」の欄に書きます
- 夫婦で同じ子を書く:同じ子の扶養控除は、どちらか一方しか受けられません
- 去年の申告書をそのまま写す:家族の所得や年齢は毎年変わります。年分ごとの基準で見直しましょう
迷ったときは、勤務先の担当者か、税務署に確認してください。
まとめ
- 扶養控除等申告書は、扶養している家族などを会社に伝えて、毎月の所得税と年末調整に反映してもらう書類
- 年末調整の時期に出すのは翌年分。年齢と所得は、翌年で考える
- 家族の生年月日・個人番号・所得の見積額を準備してから書く
- 配偶者はA、16歳以上の家族はB、16歳未満の子は「住民税に関する事項」に書く
- 年の途中で家族が変わったら、出し直す
確認先の公的機関
- 国税庁「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」(様式・記載例)
- 国税庁「令和9年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の記載例(PDF)
- 国税庁 タックスアンサー No.2511「税額表の種類と使い方」
この記事は一般的なしくみの説明です。ご自身の申告書の書き方については、勤務先の担当者、または税務署にご確認ください。