年末調整の申告書チェックポイント|申告書どうしの突き合わせと前年比較【給与担当者向け】

この記事でわかること

  1. 申告書ごとに確認するポイント
  2. 申告書どうしを突き合わせて見つける間違い
  3. 前年の申告書との比較と、本人への聞き返し方

※この記事は2026年10月時点の情報です(令和8年分の申告書)。取扱いは変わることがあるため、国税庁のサイトで確認してください。

結論:申告書は「1枚ずつ」ではなく「つなげて」見る

年末調整の申告書の確認というと、1枚ずつ記載漏れや計算を見ることが多いと思います。それに加えて、次の3つの見方をすると、1枚だけでは気づけない間違いが見つかります。

見方何を見るか見つかる間違いの例
1. 申告書ごとの確認記載漏れ、所得の計算、控除額前年の控除額のまま書いている
2. 申告書どうしの突き合わせ同じ人(配偶者・子)が、別の申告書でどう書かれているか源泉控除対象配偶者が書かれているのに、配偶者控除等申告書が出ていない
3. 前年との比較社員ごとに、前年の申告書と並べて見る23歳になった子が、今年も特定扶養親族のまま書かれている

令和8年分は、扶養親族等の所得要件(62万円以下)、基礎控除、給与所得控除が変わりました。今年の基準で確認してください。

改正点と時期ごとの作業は、こちらで解説しています。

→ 令和8年分 年末調整の改正点と実務対応

1. 申告書ごとの確認ポイント

扶養控除等(異動)申告書

  • 提出すべき社員から、漏れなく提出されているか
  • 控除対象扶養親族・同一生計配偶者の所得の見積額が、62万円以下か
  • 年齢の区分(一般・特定扶養親族・老人扶養親族)が、生年月日と合っているか。年齢は12月31日時点で判定します
  • 19歳以上23歳未満の子が、扶養控除の対象(所得62万円以下)か、特定親族特別控除の対象(62万円超123万円以下)か、正しく分かれているか
  • 別居の親族は、生活費の送金など生計を一にしている事実があるか
  • 国外に住む親族は、親族関係書類・送金関係書類の提出(または提示)があるか
  • 改正で新たに要件に当たる親族がいる社員から、異動申告書が出ているか

基礎控除申告書

  • 本人の所得の見積額に応じた、令和8年分の基礎控除の額になっているか

配偶者控除等申告書

  • 本人の所得が1,000万円以下か
  • 配偶者の給与の所得を、改正後の給与所得控除で計算しているか
  • 区分Ⅰ(本人の所得)と区分Ⅱ(配偶者の所得)の組み合わせから、正しい控除額を書いているか

特定親族特別控除申告書

  • 特定親族の生年月日が、令和8年分は平成16年1月2日から平成20年1月1日までか
  • 所得の見積額が62万円超123万円以下で、所得に応じた控除額になっているか

保険料控除申告書

  • 証明書の金額と、申告書の金額が一致しているか
  • 保険料の区分(一般・介護医療・個人年金、新・旧)が正しいか
  • 一般の生命保険料を、23歳未満の扶養親族の有無に応じた計算式で計算しているか
  • 給与から差し引いた社会保険料を、重ねて書いていないか
  • 証明書が添付されているか(旧生命保険料で1契約9,000円以下のものなどは不要)

2. 申告書どうしの突き合わせ

同じ人が、別の申告書にも出てくることがあります。並べて見て、内容が合っているか確認します。

突き合わせる申告書確認すること
扶養控除等申告書の「源泉控除対象配偶者」⇔ 配偶者控除等申告書配偶者が書かれているのに、配偶者控除等申告書が出ていない。配偶者の所得の見積額が2枚で違う場合は、配偶者控除等申告書の金額が今年の見込みか確認する。令和8年分の扶養控除等申告書は、改正前の給与所得控除〈65万円〉で所得を計算していることがあるため、金額が違うこと自体は間違いではありません
扶養控除等申告書の19歳以上23歳未満の子 ⇔ 特定親族特別控除申告書同じ子が、扶養控除等申告書で「特定扶養親族」にチェックされたうえで、特定親族特別控除申告書にも書かれていないか。「特定親族」にチェックされた子が2枚に書かれているのは正しい。所得の見積額が違う場合は、特定親族特別控除申告書の金額が今年の見込みか確認する
扶養控除等申告書の23歳未満の子(源泉控除対象親族の欄と、「住民税に関する事項」の16歳未満の扶養親族の欄)⇔ 保険料控除申告書の「年齢23歳未満の扶養親族」の欄23歳未満の扶養親族がいて生命保険料を申告しているのに、欄が「無」または空欄になっていない。所得が62万円を超える特定親族は対象外
基礎控除申告書の本人の所得 ⇔ 配偶者控除等申告書の区分Ⅰ本人の所得の見積額と区分Ⅰ(A・B・C)が合っている

夫婦や親子が、同じ会社で働いている場合

同じ家族を、2人の社員が申告していることがあります。控除によって、2人とも受けられるものと、どちらか1人だけのものがあります。

控除2人とも受けられるか
扶養控除(同じ扶養親族)どちらか1人だけ
配偶者特別控除夫婦がお互いに受けることはできない
特定親族特別控除(同じ特定親族)どちらか1人だけ
生命保険料控除の特例(23歳未満の扶養親族)2人とも受けられる

3. 前年の申告書との比較

社員ごとに、前年の申告書と並べて見ます。変わったところと、変わっていないのがおかしいところを確認します。

  • 家族の年齢の節目:今年、16歳・19歳・23歳・70歳になる家族は、区分が変わります。前年と同じ区分のまま書かれていないか確認します
  • 家族の所得の見積額:前年と同じ金額がそのまま書かれていたら、今年の見込みか本人に確認します
  • 前年あった証明書:前年に出ていた保険料の証明書が今年はない場合、解約したのか、出し忘れなのかを確認します
  • 前年いた家族:前年の申告書にいた家族が今年いない(または、いなかった家族がいる)場合は、理由を確認します

4. 本人への聞き返し方

確認するのは、申告書に書かれた事実です。控除を受けられるかどうかの判断を、担当者が代わりにすることはできません。聞き返すときは、事実を確認する聞き方にします。

気づいたこと聞き方の例
家族の所得の見積額が前年と同じ「〇〇さんの今年の収入の見込みは、前年と同じ〇〇円で合っていますか。12月の給与・賞与も含めた見込みでお願いします」
2枚の申告書で、配偶者の所得の見積額が違う「扶養控除等申告書と配偶者控除等申告書で、配偶者の方の所得の見積額が違っています。どちらが今年の見込みか教えてください」
23歳未満の扶養親族がいるのに、保険料控除申告書の欄が空欄「23歳未満のお子さんがいる場合、生命保険料控除の計算が変わります。保険料控除申告書の『年齢23歳未満の扶養親族』の欄を書いてください」
前年あった証明書がない「前年は〇〇の生命保険料の証明書がありましたが、今年は契約を続けていますか」

実務の現場から(筆者)

年齢と所得は特に確認しましょう

申告書の中でも、家族の年齢と所得は勘違いしている人が多いです。特に注意して確認しましょう。

社員にとっては年に1回の書類です

申告書を書くのは、社員にとって年に1回だけです。
聞き返すときは、専門的な言葉ではなく、わかりやすい言葉で確認しましょう。

間違えると、後から指摘を受けます

申告を間違えたまま年末調整をすると、後から税務署の指摘を受けて、まとめて払うことになるので注意してください。

まとめ

  • 申告書は、1枚ずつの確認に加えて、申告書どうしの突き合わせと前年との比較をすると、間違いが見つかりやすくなります
  • 同じ家族を2人の社員が申告している場合は、控除ごとに2人とも受けられるかを確認します
  • 本人に聞き返すときは、事実を確認する聞き方にします

確認先(公的機関)

個別の事案の判断は、所轄の税務署、または税理士にご確認ください。