年末調整の申告書を、がんばって書いて提出した。そうなると次に気になるのは、「がんばった結果、いくら戻るの?」ではないでしょうか。この記事では、いくら戻るかの決まり方と、おおよその額の出し方を説明します。自分の数字で確かめたいときは、無料でできるシミュレーションも紹介します。
この記事でわかること
- いくら戻るかは、どう決まるか(おおよその額の出し方と、自分の数字で計算する方法)
- 戻る人の目安(毎月の計算に入っていない控除がある人)
※2026年11月時点の情報です。金額は令和8年分(2026年分)の例です。
結論:毎月の計算に入っていない控除がある人ほど、多く戻る
ポイント
- 毎月の所得税は、「1年間同じ給与で、1年分の控除を12で割った額を毎月引く」前提で計算されている。ただし、毎月の計算に入っていない控除もある
- 年末調整で初めて引かれる控除や、毎月の計算より多く引かれる控除がある人に、お金が戻る
- おおよその額は、年末調整で増える控除の合計 × 所得税の税率で見当がつく。自分の数字では、年末調整ツールで、いくら戻るか(足りないか)を計算できます(毎月引かれた所得税の合計を入れます)
いくら戻る?の決まり方
毎月の所得税は「前提つきの計算」
毎月の給料から引かれる所得税は、次の前提で計算されています。
- 1年間、毎月同じ額の給与をもらう
- 毎月の計算に入れる控除(基礎控除・配偶者の控除・扶養控除など)は、1年分を12で割った額を毎月引く
たとえば扶養控除は、1年分の38万円を12で割った31,667円を、毎月の計算で引いています。
年末調整では、1年間に実際にもらった給与と、1年分の控除で、税額を計算し直します。毎月引かれた所得税の合計と、計算し直した1年分の税額との差が、戻るお金です。
つまり、お金が戻るのは、次のような控除がある人です。
- 毎月の計算には入っておらず、年末調整で初めて引かれる控除
- 毎月の計算に入っている額より、年末調整で多く引かれる控除
毎月の税額は、決められた表(税額表)で出すので、表の区切りの分だけ、もともと少しずれがあります。このずれも年末調整で精算されます。
戻る人の目安
次に当てはまる人は、年末調整で戻るお金が出やすくなります。金額は令和8年分の例です。
1. 年の途中で、扶養する家族が増えた
- 結婚や出産などで家族が増えると、増えたあとの月から毎月の計算に入ります
- それより前の月は、さかのぼって直しません。その分が、年末調整で戻ります
2. 基礎控除の上乗せがある人(本人の所得が655万円以下)
- 毎月の計算に入っている基礎控除は、本体の分だけです(1年分を12で割った額)
- 所得が少ない人に付く上乗せの分は、毎月の計算に入っておらず、年末調整で引かれます
| あなたの所得(給与だけの場合の年収) | 年末調整の基礎控除(令和8年分) | うち上乗せの分 |
|---|---|---|
| 489万円以下(約665万円以下) | 104万円 | 42万円 |
| 489万円超 655万円以下(約665万円超 850万円以下) | 67万円 | 5万円 |
| 655万円超 2,350万円以下 | 62万円 | なし |
※令和8年分は、本体の分も改正前の額で毎月計算されてきました。その分は下の7.を見てください。
3. 配偶者特別控除を受ける人(配偶者の所得が95万円超 133万円以下)
- 毎月の計算に配偶者の分が入るのは、配偶者の所得の見積額が95万円以下の人だけです(あなたの所得が900万円以下の場合)
- 配偶者の所得が95万円超 133万円以下(給与だけなら年収169万円超 207万円以下)の人は、毎月の計算に配偶者の分が入っていません。年末調整で、配偶者特別控除(36万円〜3万円)が初めて引かれます
4. 特定親族特別控除を受ける人(19歳〜22歳の子などの所得が62万円超 123万円以下)
19歳以上23歳未満の子などの所得が62万円超 123万円以下(給与だけなら年収136万円超 197万円以下)の人です。
| 子などの所得 | 毎月の計算に入っている分(1年分に直すと) | 年末調整の特定親族特別控除 |
|---|---|---|
| 62万円超 100万円以下 | 38万円 | 63万円〜41万円 |
| 100万円超 123万円以下 | なし | 31万円〜3万円 |
5. 19歳〜22歳の子や、70歳以上の親などを扶養している人
- 毎月の計算では、扶養する家族は年齢に関係なく、1人38万円分で入っています
- 年末調整では、19歳以上23歳未満の子など(所得62万円以下)は63万円、70歳以上の家族は48万円(同居している親などは58万円)で計算し直します
6. 生命保険料・地震保険料・iDeCo の掛金を自分で払っている人、住宅ローン控除の2年目以降の人
- これらは、毎月の計算に入っておらず、年末調整で初めて引かれます
7. 2026年(令和8年分)は、改正の分
2026年は、基礎控除などの改正があり、毎月の税額は改正前の額で計算されてきました。年末調整で改正後の額で計算し直すので、今年は戻る人が多くなります。くわしくは2026年の年末調整で何が変わる?還付が増える人と、会社員がやることで説明しています。
確認先:
- 国税庁「月額表の甲欄を適用する給与等に対する税額の電算機計算の特例について」(令和8年分)
- 国税庁 タックスアンサー No.1199「基礎控除」
- 国税庁 タックスアンサー No.1195「配偶者特別控除」
- 国税庁 タックスアンサー No.1177「特定親族特別控除」
- 国税庁 タックスアンサー No.1180「扶養控除」
おおよその還付額の出し方
戻る額のおおよそは、次の式で出せます。
おおよその還付額 ≒ 年末調整で増える控除の合計 × あなたの所得税の税率
(実際には、復興特別所得税の分〈2.1%〉が少し上乗せされます)
- 掛けるのは、毎月の計算に入っていなかった分(上の「戻る人の目安」で当てはまった分)だけです
- 2026年(令和8年分)は、基礎控除の本体の増えた4万円(58万円→62万円)も、所得2,350万円以下の人は足します
- 毎月の計算ですでに引かれている分(たとえば扶養控除の38万円)は、掛けても戻りません
税率は、課税される所得(給与所得から、基礎控除や社会保険料などの控除を全部引いたあとの金額)で決まります。
| 課税される所得 | 所得税の税率 |
|---|---|
| 195万円未満 | 5% |
| 195万円以上 330万円未満 | 10% |
| 330万円以上 695万円未満 | 20% |
| 695万円以上 900万円未満 | 23% |
| 900万円以上 1,800万円未満 | 33% |
| 1,800万円以上 4,000万円未満 | 40% |
| 4,000万円以上 | 45% |
※年収に置きかえた目安は、給与所得控除・基礎控除・社会保険料・家族の控除などで人によって大きく変わるので、この記事では書いていません。
例:生命保険料控除などで、年末調整で増える控除が4万円、税率が5%の人
- 4万円 × 5% = 2,000円
- 復興特別所得税の分を足すと、2,000円 × 102.1% = 約2,042円
- 実際の額は、端数の切り捨てなどで少しずれます
住宅ローン控除は、掛け算をしません
住宅ローン控除は、所得から引く控除ではなく、所得税の額から直接引く控除です。そのため、控除額がほぼそのまま戻ります(復興特別所得税の分、少し多くなります)。ただし、引けるのはその年の所得税の額までです。
確認先:国税庁 タックスアンサー No.2260「所得税の税率」/国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」3 年税額の計算
自分の数字で計算する
いくら戻るかは、給与・家族・保険料などで人によって違います。自分の数字では、年末調整ツールで、いくら戻るか(足りないか)を計算できます(毎月引かれた所得税の合計を入れます)。
あなたの数字で計算する
→ 年末調整ツール(給与や家族、保険料、毎月引かれた所得税の合計を入れると、いくら戻るか〈足りないか〉が出ます)
※ツールの結果は目安です。実際の額は、会社が計算した毎月の税額などによって、ずれることがあります。
(補足)足りなくなる人もいる
年の途中で扶養する家族が減った人(子どもの就職など)は、減る前の月の計算が少なめになっているので、年末調整で足りない分が引かれることがあります。
確認先:国税庁 タックスアンサー No.2675「年末調整による過不足額の精算」
よくある間違い
- 戻る額を、同僚と比べる:毎月の計算に入っていない控除は、人によって違うので、比べられません
- 給与が増えた年は必ず戻ると思う:給与の動きだけでは、戻るとも足りないとも決まりません
- 家族を扶養していれば、毎月の計算で全部引かれていると思う:19歳〜22歳の子や70歳以上の家族は、年末調整で多く引かれます
迷ったときは、勤務先の担当者か、税務署に確認してください。
まとめ
- 毎月の所得税は「1年間同じ給与で、控除を12で割った額を毎月引く」前提の計算。ただし入っていない控除もある
- 年末調整で初めて引かれる控除や、毎月より多く引かれる控除がある人に、お金が戻る(基礎控除の上乗せ、配偶者特別控除、特定親族特別控除、19歳〜22歳の子・70歳以上の家族、保険料・iDeCo、住宅ローン控除の2年目以降など)
- おおよその還付額は、年末調整で増える控除の合計 × 所得税の税率(住宅ローン控除は掛け算せず、控除額がほぼそのまま)。自分の数字では、年末調整ツールで、いくら戻るか(足りないか)を計算できます(毎月引かれた所得税の合計を入れます)
- 年の途中で家族が減った人は、足りない分が引かれることがある
確認先の公的機関
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」(年末調整のページ)
- 国税庁「月額表の甲欄を適用する給与等に対する税額の電算機計算の特例について」(令和8年分)
- 国税庁 タックスアンサー No.1199「基礎控除」
- 国税庁 タックスアンサー No.1195「配偶者特別控除」
- 国税庁 タックスアンサー No.1177「特定親族特別控除」
- 国税庁 タックスアンサー No.1180「扶養控除」
- 国税庁 タックスアンサー No.2675「年末調整による過不足額の精算」
- 国税庁 タックスアンサー No.2260「所得税の税率」
この記事は一般的なしくみの説明です。ご自身の年末調整の額については、勤務先の担当者、または税務署にご確認ください。